宇陀市の国民健康保険|令和8年度の保険料・減免・申請窓口を完全ガイド
宇陀市は人口約2万5千人、奈良県の中東部・大和高原の南端に位置する市です。
この記事では、令和8年度の最新税率にもとづく宇陀市の国保税の計算方法、軽減・減免制度、会社都合退職での特例軽減、窓口情報までまとめました。
宇陀市の税率は奈良県内統一税率です。奈良県は「同じ所得・世帯構成であれば、県内のどこに住んでも保険税(料)水準が同じ」となるよう、県内すべての市町村で税率を統一しています。
そのうえで宇陀市が他市より実用的なのが「国民健康保険税試算表」を記入式で公開している点です。世帯の加入人数、40〜64歳の人数、18歳未満の人数、課税総所得金額を書き込んでいけば、区分ごとの税額を自分で計算できる表です。
もうひとつ、宇陀市は令和8年度から納税通知書と納付書の様式を変更しました。「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」にもとづく変更で、市は「納税通知書の見方」を2種類のPDF(納付書が同封されている世帯/されていない世帯)で公開しています。この記事ではそうした実務面も扱います。
1. 宇陀市の国民健康保険の概要
宇陀市の国保は、勤務先の健康保険(社保)に加入していない方が対象です。自営業者、フリーランス、退職者、無職の方、パート・アルバイトで社保未加入の方、外国人住民などが該当します。
宇陀市の保険料は3方式(所得割+均等割+平等割)で計算します。「平等割」は世帯単位でかかる定額部分で、世帯人数が少ないほど1人あたりの負担感が大きくなります。
宇陀市の国保は「保険料」ではなく「保険税」方式で、3方式(所得割+均等割+平等割)です。資産割はありません。
税率は奈良県内統一税率。市は「奈良県では、国保被保険者の保険税(料)負担の公平化を図るため、『同じ所得・世帯構成であれば、県内のどこに住んでも保険税(料)水準が同じ』となるように、県内のすべての市町村で税(料)率を統一しています」としています。
奈良県は大阪府と並んで早期に県内統一を実現した都道府県です。多くの都道府県は令和9年度〜令和12年度を目標としているなか、奈良県は令和6年度から統一しています。
賦課限度額は合計112万円(医療分66万・支援金分26万・介護分17万・子ども・子育て分3万)。全国の多くの自治体が令和8年度に医療分を67万円へ引き上げるなか、奈良県は66万円のまま据え置きで、大阪府と同じ水準です。
納期は7月〜翌年2月の8期。市は各期の納期限まですべて公開しています。
国保のしくみそのものは国民健康保険の基礎知識まとめ、加入・脱退の手順は国民健康保険の加入手続き完全ガイドをあわせてどうぞ。
2. 保険料の計算方法|令和8年度の料率
| 区分 | 所得割率 | 均等割(1人年額) | 平等割(1世帯年額) | 賦課限度額 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 7.64% | 27,600円 | 20,000円 | 660,000円 |
| 後期高齢者支援金分 | 3.27% | 11,500円 | 8,400円 | 260,000円 |
| 介護分(40〜64歳) | 3.03% | 16,900円 | ― | 170,000円 |
| 子ども・子育て支援金分 | 0.31% | 1,900円 (子ども・子育て分の均等割1,900円には18歳以上被保険者均等割200円が含まれます。市は「18歳未満の被保険者(当年度4月1日時点)にかかる均等割額は全額軽減し、軽減した額を18歳以上被保険者均等割として18歳以上の被保険者に賦課します」と、埋め合わせの仕組みまで明記しています) | ― | 30,000円 |
- 所得割の計算ベースは「前年中の総所得金額等 - 基礎控除43万円」=基準総所得金額。加入者ひとりごとに計算して世帯で合算します。
- 40歳未満は医療分・後期支援分・子ども分のみ。40歳以上65歳未満には介護分が加わります。
- 子ども・子育て分の均等割1,900円には18歳以上被保険者均等割200円が含まれます。市は「18歳未満の被保険者(当年度4月1日時点)にかかる均等割額は全額軽減し、軽減した額を18歳以上被保険者均等割として18歳以上の被保険者に賦課します」と、埋め合わせの仕組みまで明記しています。申請は不要です。
- 年度途中の加入・脱退は月割り計算になります。
所得割の合計は14.25%(医療分7.64%+支援金分3.27%+介護分3.03%+子ども・子育て分0.31%/40〜64歳)。40歳未満なら11.22%です。
均等割の合計は1人57,900円(医療27,600+支援11,500+介護16,900+子ども1,900/18歳以上・40〜64歳)。40歳未満なら41,000円。
平等割は1世帯あたり年28,400円(医療分20,000円+支援金分8,400円)。介護分と子ども・子育て分には平等割がありません。
賦課限度額は医療分66万円・支援金分26万円・介護分17万円・子ども・子育て分3万円で、合計112万円です。医療分67万円・合計113万円が主流のなか、奈良県統一税率は66万円据え置きです。
介護分の所得割3.03%は全国的に高い水準です。東京23区は2.43%、大阪府統一は2.60%、新見市(岡山)は2.2%。40歳になると負担がはっきり増える設計といえます。
令和8年度の税率表(奈良県内統一税率)
| 区分 | 医療分 | 支援金分 | 介護分 (40〜64歳) | 子ども・子育て分 |
|---|---|---|---|---|
| 所得割 | 7.64% | 3.27% | 3.03% | 0.31% |
| 均等割 (加入者1人あたり) | 27,600円 | 11,500円 | 16,900円 | 1,900円 (18歳以上被保険者均等割200円を含む) |
| 平等割 (1世帯あたり) | 20,000円 | 8,400円 | ― | ― |
| 課税限度額 | 660,000円 | 260,000円 | 170,000円 | 30,000円 |
所得割=加入者それぞれの総所得金額等から地方税基礎控除430,000円を引いた額の合計×税率。均等割=加入者数×税率。平等割=1世帯×税率。介護分は40歳から64歳までの方のみ。
子ども・子育て分について、宇陀市は「18歳未満の被保険者(当年度4月1日時点)にかかる均等割額は全額軽減し、軽減した額を18歳以上被保険者均等割として18歳以上の被保険者に賦課します」と明記しています。「18歳未満の分を18歳以上が肩代わりする」という仕組みを、ここまではっきり説明している自治体は多くありません。均等割1,900円のうち200円がその肩代わり分です。
宇陀市が公開している「国民健康保険税試算表」——記入式で自分の税額を計算できる
宇陀市は記入式の試算表を公開しています。オンラインの試算ツールを持たない自治体は多いのですが、紙の様式として計算手順を全部見せているのは実用的です。
ステップ1:人数を数える
| 世帯の加入人数 | A__人 |
| Aのうち介護保険の被保険者【40歳〜64歳の方】 | B__人 |
| Aのうち18歳未満の被保険者 | C__人 |
ステップ2:所得を出す——D=加入者それぞれの総所得金額等から地方税基礎控除430,000円を引いた額の計/E=そのうち40歳から64歳までの方の分の計
ステップ3:区分ごとに計算する
| 課税区分 | 医療分 | 支援金分 | 介護保険分 | 子ども・子育て分 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 所得割 | D×7.64% | D×3.27% | E×3.03% | D×0.31% |
| 2. 均等割 | 27,600円×A人 | 11,500円×A人 | 16,900円×B人 | 1,900円×(A-C)人 |
| 3. 平等割 (1世帯につき) | 20,000円 | 8,400円 | ― | ― |
| 1〜3の合計 | (イ) 限度額66万円 | (ロ) 限度額26万円 | (ハ) 限度額17万円 | (二) 限度額3万円 |
年間額=(イ)+(ロ)+(ハ)+(二)(限度額112万円)
この試算表の作りには、国保の計算の急所が全部入っています。
①介護分の所得割は「E」を使う——世帯全員の所得(D)ではなく、40〜64歳の加入者の所得だけ(E)を使います。ここを間違えると大きくずれます。
②子ども・子育て分の均等割は「A-C」人——加入者総数から18歳未満を引いた人数、つまり18歳以上の人数にかけます。
③限度額は区分ごとに判定——市は「上記の計算の結果(イ)・(ロ)・(ハ)・(二)がそれぞれ限度額を超える場合は、限度額になります」としています。合計112万円で一括して切るのではなく、4つの区分それぞれで上限を当てる方式です。
④軽減は均等割と平等割だけ——市は「所得が少ないとき、均等割と平等割のみ軽減(2割・5割・7割)する場合があります」としています。所得割は軽減されません。
市は「試算表の結果は、あくまで概算ですので、実際の賦課額とは異なる場合があります」と注記しています。
令和8年度から納税通知書・納付書の様式が変わった
宇陀市は令和8年度に納税通知書と納付書の様式を変更しました。理由は「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」です。
これは全国の自治体の基幹業務システムを国が定める標準仕様に合わせる法律で、令和7年度末までの移行が目標とされてきました。宇陀市は令和8年度からこの標準様式に切り替えたということです。
市は「納税通知書の見方」を2種類のPDFで公開しています。
・納付書が同封されている世帯の方 → 納税通知書の見方1
・納付書が同封されていない世帯の方(口座振替又は年金天引き)→ 納税通知書の見方2
納税通知書は毎年7月中旬に、納税義務者(国民健康保険加入者がいる世帯の世帯主)に送付されます。
様式が変わった年は要注意です。見慣れた場所に見慣れた数字がないので、軽減額や限度額の適用を見落としやすくなります。届いたら市の「見方」PDFと突き合わせて確認してください。
あわせて納付方法も新しくなりました。市は「令和8年1月以降に発行された納付書では、スマホ決済やクレジット決済ができるQR納付が可能になりました」としています。支払いは「地方税お支払いサイト」から行います。
奈良県統一税率の位置づけ——大阪府と並ぶ「限度額112万円」グループ
都道府県単位の保険料水準統一は、国保制度改革の柱のひとつです。統一の時期は都道府県によって大きく違います。
| 都道府県 | 統一の時期 | 令和8年度の医療分限度額 |
|---|---|---|
| 奈良県 | 令和6年度 統一済み | 66万円 |
| 大阪府 | 令和6年度 統一済み | 66万円 |
| 埼玉県 | 令和9年度に準統一(完全統一は令和12年度) | 67万円 |
| 滋賀県 | 令和9年度 | 67万円 |
| 兵庫県・静岡県・長野県・北海道 | 令和12年度 | 67万円 |
奈良県と大阪府は先行して統一を終えた2県です。そしてどちらも医療分の限度額を66万円に据え置いています(全国的には67万円が主流)。合計限度額は112万円で、東京23区などの113万円より1万円低い水準です。
統一のメリットは「どこに住んでも同じ」という公平性。デメリットは、市町村が独自に保険税を下げる余地がなくなることです。市の繰越金を使って保険税を抑える、といった措置はできません。
所得に関係なくかかる部分を近隣と比べてみます。
| 自治体 | 均等割(1人) | 平等割(1世帯) | 単身世帯 | 4人世帯 |
|---|---|---|---|---|
| 宇陀市(奈良県統一) | 57,900円 | 28,400円 | 86,300円 | 260,000円 |
| 大阪府内統一 | 65,022円 | 44,753円 | 109,775円 | 304,841円 |
| 橋本市(和歌山) | 60,600円 | 28,900円 | 89,500円 | 271,300円 |
| 東京23区 | 84,873円 | なし | 84,873円 | 339,492円 |
宇陀市(奈良県)は大阪府より単身で年2.3万円、4人世帯で年4.5万円ほど安い計算になります。同じ「統一済み」の県でも、水準にはこれだけ差があります。
【計算例1】40歳夫婦+子ども2人(うち1人は未就学児)/世帯所得300万円
所得はすべて夫(40歳)のものとして計算します。基準総所得金額 = 300万円 - 43万円 = 257万円
- 医療分: 所得割 196,348円 + 均等割 96,600円 + 平等割 20,000円 ⇒ 312,948円
- 後期支援分: 所得割 84,039円 + 均等割 40,250円 + 平等割 8,400円 ⇒ 132,689円
- 介護分: 所得割 77,871円 + 均等割 33,800円 ⇒ 111,671円
- 子ども分: 所得割 7,967円 + 均等割 3,800円 ⇒ 11,767円
合計: 年間 約569,075円(月あたり約47,400円)
この世帯の総所得金額等は300万円。2割軽減の判定基準は「43万円+57万円×4人=271万円」なので、低所得軽減には届きません。
【計算例2】40歳単身/年収300万円(給与所得202万円)
基準総所得金額 = 202万円 - 43万円 = 159万円
- 医療分: 所得割 121,476円 + 均等割 27,600円 + 平等割 20,000円 ⇒ 169,076円
- 後期支援分: 所得割 51,993円 + 均等割 11,500円 + 平等割 8,400円 ⇒ 71,893円
- 介護分: 所得割 48,177円 + 均等割 16,900円 ⇒ 65,077円
- 子ども分: 所得割 4,929円 + 均等割 1,900円 ⇒ 6,829円
合計: 年間 約312,875円(月あたり約26,100円)
単身世帯でも平等割が合計で年28,400円のってきます。平等割のない自治体(横浜市や東京23区など)と比べると、この分がまるごと差になります。
【計算例3】会社都合で退職した40歳単身/前年の給与収入400万円
ここが一番お金の動くところです。給与収入400万円=給与所得276万円の方が、倒産・解雇などで離職したケース。
軽減を届け出なかった場合(基準総所得金額 276万-43万=233万円)
- 医療分 225,612円 / 後期支援分 96,091円 / 介護分 87,499円 / 子ども分 9,123円 ⇒ 合計 約418,325円
非自発的失業者の軽減を届け出た場合(給与所得を100分の30に圧縮:276万×30%=82.8万円 → 基準総所得金額 39.8万円)
- 判定所得も82.8万円に下がるため均等割・平等割の2割軽減もあわせて適用されます(2割軽減の基準=43万+57万×1人=100万円以下)
- 医療分 68,487円 / 後期支援分 28,935円 / 介護分 25,579円 / 子ども分 2,754円 ⇒ 合計 約125,755円
差額は年間およそ29万3千円。届出書1枚でこれだけ違います。宇陀市が対象者を自動で拾ってくれるわけではないので、心当たりのある方は窓口へ。
(注)上記は本記事による概算です。正確な金額は宇陀市公式サイトでご確認ください。退職直後で任意継続と迷っている方は任意継続 vs 国民健康保険もどうぞ。
3. 賦課限度額(保険料の上限)
- 医療分 660,000円 / 後期支援分 260,000円 / 介護分 170,000円 / 子ども分 30,000円
- 世帯合計の最大値: 年112万円(1,120,000円)
所得がどれだけ高くてもここで頭打ちです。
4. 宇陀市の軽減・減免制度
制度は自動で適用されるものと申請しないと適用されないものに分かれます。取りこぼしが起きるのはいつも後者です。
4-1. 低所得世帯の軽減(7割・5割・2割)|自動適用
| 軽減率 | 世帯の総所得金額等が以下の額以下 |
|---|---|
| 7割軽減 | 43万円 + 10万円×(給与所得者等の数 - 1) |
| 5割軽減 | 43万円 + 31万円×被保険者数 + 10万円×(給与所得者等の数 - 1) |
| 2割軽減 | 43万円 + 57万円×被保険者数 + 10万円×(給与所得者等の数 - 1) |
軽減されるのは均等割と平等割です。所得割は対象外。収入がない方も住民税の申告をしないと軽減判定が回りません。「無職なのに保険料が高い」の原因はたいていこれです(無職の人の国民健康保険)。
4-2. 未就学児の均等割5割軽減|自動適用
未就学児(小学校入学前)の均等割が所得制限なく一律5割軽減。低所得軽減との併用ができ、7割軽減世帯の未就学児は合わせて8.5割軽減になります。申請不要。
4-3. 子ども・子育て支援金分の18歳未満軽減|自動適用
令和8年度に新設された子ども・子育て支援金分は、子ども・子育て分の均等割1,900円には18歳以上被保険者均等割200円が含まれます。市は「18歳未満の被保険者(当年度4月1日時点)にかかる均等割額は全額軽減し、軽減した額を18歳以上被保険者均等割として18歳以上の被保険者に賦課します」と、埋め合わせの仕組みまで明記しています。子ども本人の負担は実質ゼロです。申請不要。
4-4. 非自発的失業者の保険料軽減|要申請
倒産・解雇・雇止めなどで離職し、雇用保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当する離職時65歳未満の方は、前年の給与所得を100分の30として計算します。計算例3のとおり、効き目が別格の制度です。
- 軽減期間: 離職日の翌日から翌年度末まで(最大2年分)
- 離職理由コード: 特定受給資格者=11・12・21・22・31・32/特定理由離職者=23・33・34
- 必要書類: 雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)の写し、本人確認書類、マイナンバーがわかるもの
- 届出先: 宇陀市 市民環境部 保険年金課(0745-82-3672/IP電話 0745-88-9086)
- 注意: 届け出ないと適用されません。自己都合退職は対象外です
倒産や解雇などの理由で退職した方(非自発的失業者)は、前年中の給与所得金額を30/100に減額して計算する軽減が使えます。市は制度の趣旨を「非自発的な失業について、在職中の保険料負担と比較して過重とならないようにするため」と説明しています。
対象は、平成21年3月31日以降に離職し、離職日において65歳未満の方で、雇用保険受給資格者証をお持ちの特定受給資格者(離職理由コード11・12・21・22・31・32)または特定理由離職者(同23・33・34)です。市は「雇用保険受給資格者証はハローワークで求職の申し込みにより発行されます」と、入手方法まで書いています。
ここが宇陀市の重要な記載です——「(高額療養費などの所得判定も給与所得を30/100として再判定されます。)」。
軽減の効果は保険税だけにとどまりません。高額療養費の自己負担限度額は所得区分で決まりますが、非自発的失業の軽減を受けると、その判定でも給与所得が30%として扱われます。入院や手術をしたときの1か月の窓口負担の上限も下がるということです。届出の価値がさらに大きくなります。
ただし「給与以外の所得については、100/100となります」。事業所得や不動産所得は圧縮されません。
効果を試算します。給与収入400万円(給与所得276万円)の40代単身世帯なら、課税総所得金額は276万-43万=233万円。所得割は233万×14.25%=331,725円、均等割57,900円と平等割28,400円を足して年約41.8万円です。
軽減が適用されると給与所得は276万×30%=82.8万円。課税総所得金額は39.8万円まで下がり、所得割は56,715円。
さらにこの82.8万円で7割・5割・2割の軽減判定も行われます。単身世帯なら2割軽減の基準は43万+57万=100万円。82.8万円は基準以下なので2割軽減が適用され、均等割と平等割の合計86,300円が69,040円に。
合計は約12.6万円。差はおよそ29.2万円です。
軽減期間は「離職日の翌日が属する月の年度の翌年度末まで、または、国民健康保険の資格喪失時まで」。
申請時に必要なものは雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知と本人確認書類です。
引っ越したら再申請が必要です。市は「前住所地で軽減措置を受けておられた方が、転入、転出をされた場合は、新住所地にて再度、軽減措置のための申請が必要となりますので、申請手続きを行ってください」と明記しています。自動では引き継がれません。宇陀市に転入した方も、宇陀市から転出する方も、新しい住所地で申請してください。
書類の書き方まで含めた手順は失業したときの国保「軽減措置」完全ガイドで解説しています。
4-5. 産前産後期間の保険料軽減|要届出
出産する国保被保険者がいる世帯は、対象者の所得割額と均等割額について、出産予定月(または出産月)の前月から翌々月までの4か月分(多胎妊娠は3か月前から6か月分)が軽減されます。妊娠85日以上の出産(死産・流産・早産を含む)が対象で、出産予定日の6か月前から届出可能。産前産後の免除・軽減制度もどうぞ。
4-6. 宇陀市の減免制度|要申請
宇陀市の低所得者世帯の軽減(7割・5割・2割)、未就学児の均等割5割軽減、18歳未満の子ども・子育て分の全額軽減は申請不要です。ただし市は「所得の少ない世帯でも所得申告がされていない場合は、軽減の対象となりません」と明記しています。非自発的失業の軽減、産前産後の軽減、旧被扶養者の減免、その他の減免は申請が必要です。
| 種類 | 主な要件 | 減免内容・手続き |
|---|---|---|
| 低所得者世帯に対する保険税軽減措置 (申請不要/要・所得申告) | 世帯主・国保加入者・特定同一世帯所属者の前年中の軽減判定所得の合計が①43万円+{10万円×(給与所得者等の数-1)}以下=7割、②①+31万円×被保険者数以下=5割、③①+57万円×被保険者数以下=2割 | 均等割額と平等割額を軽減。「所得の少ない世帯でも所得申告がされていない場合は、軽減の対象となりません」 |
| 未就学児にかかる保険税軽減措置 (申請不要) | 未就学児(小学校入学前の児童) | 均等割額の5割を軽減。所得による軽減を受けている世帯は所得軽減後税額からさらに5割軽減。「18歳以上の未申告者がいる世帯については軽減適用されません」 |
| 18歳未満の子ども・子育て分均等割の全額軽減 (申請不要) | 18歳未満の被保険者(当年度4月1日時点) | 子ども・子育て分の均等割1,900円が0円。市は「軽減した額を18歳以上被保険者均等割として18歳以上の被保険者に賦課します」(均等割1,900円のうち200円)と仕組みを明記 |
| 非自発的失業者に対する保険税軽減措置 (要申請) | 平成21年3月31日以降に離職し、離職日において65歳未満で、雇用保険受給資格者証の離職理由コードが特定受給資格者=11・12・21・22・31・32/特定理由離職者=23・33・34 | 前年中の給与所得金額を30/100に減額して計算。高額療養費などの所得判定も30/100で再判定。給与以外の所得は100/100。転入・転出時は新住所地で再申請が必要 |
| 産前産後期間にかかる保険税軽減措置 (要申請) | 出産される国保被保険者 | 所得割額と均等割額が、出産予定月(または出産月)の前月から翌々月までの4か月間(多胎妊娠は3か月前から6か月間)免除 |
| 平等割額の軽減措置(特定世帯・特定継続世帯) (申請不要) | 後期高齢者医療制度への移行により国保の被保険者が1人になる世帯 | 5年間、医療分と後期高齢者支援金分の平等割額が半額。その後3年間は4分の3(対象は20,000+8,400=28,400円) |
| 旧被扶養者に対する減免措置 (要申請) | 職場の健康保険から後期高齢者医療制度に移行したことにより、その被扶養者(65歳〜74歳)が国保加入者になった方 | (1)所得割は課税されません(当分の間)/(2)均等割額が半額/(3)旧被扶養者のみで構成される世帯は平等割額も半額((2)(3)は資格取得日から2年間)。7割・5割軽減該当世帯には適用されません |
| 国保税の減免 (要申請) | ①震災・火災・風水害・その他の災害にあったとき/②世帯主または被保険者が長期の入院・事業の廃止等により世帯の収入が著しく減少したとき/③被保険者が刑務所等に収容されているとき/④生活保護法の規定による保護を受けたとき | 申請に基づき減免。納付が困難であると認められるときが要件です |
宇陀市の軽減判定は、細かい扱いを5つ明記している点で参考になります。
①65歳以上の公的年金受給者は、軽減を判定する際に1人につき年金所得から最高15万円まで控除できます。
②専従者給与は、軽減を判定する際に支払者の所得として計算します。——家族に専従者給与を払っている自営業の世帯では、払った側の所得に戻して判定されます。所得税の計算では経費になりますが、軽減判定では戻されるということです。
③青色申告者で繰越純損失がある場合、専従者給与を除いた金額で繰越損失額を計算します。(住民税とは計算方法が異なります。)——市が自ら「住民税とは計算方法が異なります」と注記しているのは珍しく、青色申告をしている方には重要な情報です。
④分離課税分の土地建物等に係る短期譲渡所得・長期譲渡所得は、特別控除適用前の金額で判定します。——自宅を売って3,000万円特別控除を使えば所得税・住民税はゼロになりますが、軽減判定では控除前の金額で見られます。所得割の計算では控除後の額を使うので、扱いが逆です。
⑤雑損失の繰越控除がある方は、控除後の額が軽減判定基準額になります。——ここが④とは逆向きで興味深いところです。雑損失の繰越控除は、所得割の計算では適用されないのが国保の一般ルールですが、軽減判定では控除後の額を使います。災害や盗難で大きな損失を出した方には有利に働きます。
④は納税者に不利、⑤は有利——どちらも「所得割とは扱いが違う」という点で共通しています。軽減判定と所得割は別のルールで動くと覚えておいてください。
「給与所得者等」の定義は給与収入が55万円を超える方と公的年金等の収入が65歳未満で60万円超・65歳以上で125万円超の方です。
特定同一世帯所属者についても、宇陀市は他市にない注意を書いています。「後期高齢者医療制度の適用により国民健康保険の資格を喪失された方で、その喪失日以降も継続して同一世帯に所属する方。(世帯主の異動があった場合、特定同一世帯所属者ではなくなります。)」——世帯主が変わると特定同一世帯所属者でなくなるという点は見落とされがちです。世帯主変更をすると軽減判定の人数が減り、特定世帯の平等割半額も外れる可能性があります。
未就学児の軽減にも注意があります。市は「申請は不要ですが、18歳以上の未申告者がいる世帯については軽減適用されませんので所得の申告をお願いします」としています。世帯に1人でも未申告の大人がいると、未就学児の軽減も止まるということです。
減免は4つの事由が明示されています。①災害/②長期の入院・事業の廃止等により世帯の収入が著しく減少/③被保険者が刑務所等に収容されているとき/④生活保護法の規定による保護を受けたとき。②に「長期の入院」が入っているのは実務的です。病気で働けなくなり収入が減ったケースが対象になります。③の刑務所等への収容も、掲げている自治体は多くありません。
保険料が重いと感じたときの選択肢は保険料が高い・払えないときのガイドもあわせて。
4-7. 払えないときは滞納する前に相談
滞納すると督促 → 延滞金 → 財産の差押えと段階的に進みます。滞納してから相談するより、滞納する前に相談したほうが選べる手が多い。分割納付や徴収猶予の相談ができます(払えない・滞納したときの対処法)。
5. 納付方法
- 口座振替(市が推奨。翌年度以降も自動継続)
- 納付書(普通徴収/7月〜翌年2月の8期)
- QR納付(令和8年1月以降発行の納付書/スマホ決済・クレジット決済。「地方税お支払いサイト」)
- 特別徴収(年金天引き/申し出により口座振替に変更可)
宇陀市の納期は7月から翌年2月までの8期です。市は各期の納期限をすべて公開しています。
全期・1期:7月31日/2期:8月31日/3期:9月30日/4期:10月31日/5期:11月30日/6期:12月25日/7期:翌年1月31日/8期:翌年2月28日(29日)
12月だけ25日である点に注意してください。年末の関係で他の月より早くなっています。市は「納期限が土曜・日曜日・祝日等休日の場合は、休み明けの平日となります」としています。
令和8年1月以降に発行された納付書では、QR納付が使えるようになりました。市は「スマホ決済やクレジット決済ができるQR納付が可能になりました。金融機関及びスマホアプリの対応状況やお支払方法の詳細は、『地方税お支払いサイト』をご確認ください」としています。全国共通の地方税統一QRコード(eL-QR)に対応したということです。
口座振替を市は強く勧めています。「手続きの翌月以降の納期分から引き落とされます。一度手続きされますと、翌年度以降も自動継続され、お忙しい方、不在がちな方等には特に便利ですのでお勧めいたします」。
申込みには預金通帳、預貯金通帳の届出印、納税通知書(又は領収書)が必要です。取扱金融機関は南都銀行/大和信用金庫/奈良農業協同組合/あいち銀行/三十三銀行/りそな銀行/三菱UFJ銀行/みずほ銀行/奈良中央信用金庫/全国の各郵便局(ゆうちょ銀行)。市役所(大宇陀・菟田野・室生の各地域事務所を含む)でも取り扱っています。
特別徴収は「65歳以上74歳以下の方だけが国保に加入されている世帯でかつ世帯主も国保に加入されている世帯」が対象で、市は「世帯主が会社の健康保険等に加入されている場合は該当しません」と補足しています。申し出により年金からの引き落としを取り止め、口座振替に切り替えられます。
滞納すると3段階で進みます。市は明確に書いています。
①延滞金——「滞納(納期限までに納付しないこと)されますと、延滞金がかかることになります」。
②滞納処分——「督促状や催告書等により、納税を再三お願いしても納税していただけないときは、納期限までに納められた方との公平を保つため、また、市の自主財源確保のため、やむを得ず滞納している方の財産を差し押さえ、さらにこれらの財産を公売・換価するなどの滞納処分を行うことになります」。
③特別療養費の支給への変更——「特別な事情がないにもかかわらず、1年以上前の国民健康保険税を滞納していると、事前に通知を送付したうえで、特別療養費の支給に変更する場合があります。特別療養費とは、医療費をいったん全額(10割)自己負担していただいた後、申請により保険給付分(7割または8割)の金額を支給する制度です」。対象者は「資格確認書(特別療養)」または「資格情報のお知らせ(特別療養)」に切り替えられます。病院の窓口で10割払いになるので、影響は非常に大きくなります。
滞納する前に相談してください。市は「さまざまなご事情により、納期限までに納付が困難な場合、納付相談を受け付けております。納付の方法や分割納付についてお気軽にご相談ください」としています。納付に関する相談は総務部税務課(0745-82-1306)です。
6. 加入・脱退の手続き
6-1. 加入手続き(事由発生から14日以内)
| 事由 | 必要書類 |
|---|---|
| 会社を退職した | 健康保険資格喪失証明書、本人確認書類、マイナンバーがわかるもの |
| 他市区町村から転入 | 本人確認書類、マイナンバーがわかるもの(転入届と同時に手続き可) |
| 子どもが生まれた | 本人確認書類、母子健康手帳 |
| 生活保護が廃止された | 保護廃止(停止)通知書、本人確認書類 |
6-2. 脱退手続き(事由発生から14日以内)
| 事由 | 必要書類 |
|---|---|
| 就職して社保に加入した | 新しい健康保険の資格確認書等、国保の保険証・資格確認書、本人確認書類 |
| 他市区町村へ転出 | 本人確認書類(転出届と同時に手続き可) |
| 生活保護の受給開始 | 保護決定通知書、本人確認書類 |
| 死亡 | 本人確認書類、死亡を確認できる書類 |
脱退の届出を忘れると国保料の請求が止まりません。社保と国保の二重払いになって、あとから還付手続きに走ることになります。就職時は就職したときの脱退手続き完全ガイド、引っ越し時は引っ越したときの手続き完全ガイドを参照してください。
7. 宇陀市の国保窓口一覧
宇陀市は用件によって窓口が2つに分かれています。国保税の納付に関することは総務部税務課、国保税の課税および国保の給付・資格等に関することは市民環境部保険年金課です。かける前に確認してください。市はIP電話の番号も併記しています。
| 窓口 | 電話番号 | 主な業務 |
|---|---|---|
| 市民環境部 保険年金課 〒633-0292 奈良県宇陀市榛原下井足17番地の3 1F | 0745-82-3672 IP電話 0745-88-9086 Fax 0745-82-7234 | 国保税の課税、国保の給付・資格、軽減・減免の申請、非自発的失業者の軽減、産前産後の軽減、旧被扶養者の減免、加入・喪失の届出 |
| 総務部 税務課 | 0745-82-1306 IP電話 0745-88-9072 Fax 0745-82-7234 | 国保税の納付に関すること、納税相談、分割納付の相談、延滞金、滞納処分 |
| 各地域事務所 (大宇陀・菟田野・室生) | 各事務所へ | 口座振替の取り扱い。本庁まで行かずに手続きできます |
| 国民健康保険税コールセンター | 市の案内による | 宇陀市が実施している国民健康保険税コールセンター事業 |
用件で窓口が違います。納付・納税相談は税務課(0745-82-1306)、課税・給付・資格は保険年金課(0745-82-3672)です。
令和8年度から納税通知書・納付書の様式が変わりました。「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づく変更で、市は「納税通知書の見方」を2種類のPDFで公開しています。
令和8年1月以降発行の納付書はQR納付(スマホ決済・クレジット決済)に対応しました。「地方税お支払いサイト」から支払えます。
非自発的失業の軽減は、転入・転出したら新住所地で再申請が必要です。自動では引き継がれません。
非自発的失業の軽減は、高額療養費などの所得判定にも効きます。市は「高額療養費などの所得判定も給与所得を30/100として再判定されます」と明記しています。
1年以上滞納すると特別療養費(窓口10割負担)に切り替わる場合があります。「資格確認書(特別療養)」の交付に変わります。滞納する前に税務課へ相談してください。
8. よくある質問(宇陀市の国保)
Q1. 自分で保険税を計算できますか?
A. できます。宇陀市は記入式の「国民健康保険税試算表」を公開しています。
手順は3ステップです。
ステップ1:人数を数える
A=世帯の加入人数/B=Aのうち40歳〜64歳の方/C=Aのうち18歳未満の方
ステップ2:所得を出す
D=加入者それぞれの総所得金額等から地方税基礎控除430,000円を引いた額の計
E=そのうち40歳から64歳までの方の分の計
ステップ3:区分ごとに計算
医療分=D×7.64% + 27,600円×A人 + 20,000円(限度額66万円)
支援金分=D×3.27% + 11,500円×A人 + 8,400円(限度額26万円)
介護保険分=E×3.03% + 16,900円×B人(限度額17万円)
子ども・子育て分=D×0.31% + 1,900円×(A-C)人(限度額3万円)
年間額=4つの合計(限度額112万円)
間違えやすいのが2か所あります。
①介護分の所得割は「E」を使う——世帯全員の所得(D)ではなく、40〜64歳の加入者の所得だけです。
②子ども・子育て分の均等割は「A-C」人——加入者総数から18歳未満を引いた18歳以上の人数にかけます。
限度額は区分ごとに判定されます。市は「(イ)・(ロ)・(ハ)・(二)がそれぞれ限度額を超える場合は、限度額になります」としています。合計112万円で一括して切るのではありません。
軽減は均等割と平等割だけにかかります。所得割は軽減されません。
市は「試算表の結果は、あくまで概算ですので、実際の賦課額とは異なる場合があります」としています。正確な額は保険年金課(0745-82-3672)へ。
Q2. 令和8年度から納税通知書が変わったと聞きました
A. 変わりました。「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づく様式変更で、市は「納税通知書の見方」を2種類のPDFで公開しています。
宇陀市の説明はこうです——「毎年7月中旬に、納税義務者【国民健康保険加入者がいる世帯の世帯主】にその年度の国民健康保険税納税通知書を送付します。『地方公共団体情報システムの標準化に関する法律』に基づき、宇陀市では令和8年度より納税通知書及び納付書の様式を変更しています」。
「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」は、全国の自治体がバラバラに構築してきた基幹業務システムを、国が定める標準仕様に統一するための法律です。住民記録、税、国保、介護など20業務が対象で、自治体ごとに違っていた帳票の様式も揃っていきます。
市が公開している「見方」PDFは2種類です。
・納付書が同封されている世帯の方 → 納税通知書の見方1(PDF 609KB)
・納付書が同封されていない世帯の方(口座振替又は年金天引き)→ 納税通知書の見方2(PDF 679KB)
様式が変わった年は要注意です。見慣れた位置に見慣れた数字がないので、軽減額の適用や限度額の到達を見落としやすくなります。
確認すべきポイントを挙げておきます。
①軽減が適用されているか——7割・5割・2割の軽減額が記載されているか。所得の申告をしていれば自動適用されます。
②未就学児・18歳未満の軽減が入っているか——未就学児は均等割5割、18歳未満は子ども・子育て分の均等割が全額軽減されます。
③加入者数が合っているか——年度途中の加入・脱退が反映されているか。
④介護分が正しいか——40歳になった方、65歳になった方の扱い。
おかしいと思ったら保険年金課(0745-82-3672)へ。納付についての相談は税務課(0745-82-1306)と窓口が分かれています。
あわせて納付方法も新しくなりました。令和8年1月以降に発行された納付書ならQR納付(スマホ決済・クレジット決済)が使えます。
Q3. 会社都合で退職しました。医療費の上限にも影響しますか?
A. します。宇陀市は「高額療養費などの所得判定も給与所得を30/100として再判定されます」と明記しています。
非自発的失業者の軽減は、前年中の給与所得金額を30/100に減額して計算する制度です。多くの自治体は保険税への効果しか書いていませんが、宇陀市は高額療養費への波及まで明記しています。
高額療養費の自己負担限度額は所得区分で決まります。1か月の窓口負担の上限が、区分によって数万円単位で変わります。給与所得が30%として再判定されるということは、区分が下がって上限も下がる可能性があるということです。
退職して収入が途絶えた時期は、健康面の不安も出やすい時期です。保険税が下がるだけでなく、入院したときの窓口負担の上限も下がる——この2つが同時に効くのは大きな意味があります。
ただし「給与以外の所得については、100/100となります」。事業所得や不動産所得、年金所得は圧縮されません。
保険税の効果を試算します。給与収入400万円の40代単身世帯なら、軽減前が年約41.8万円。軽減後は所得割が56,715円まで下がり、さらに2割軽減も適用されて均等割+平等割86,300円が69,040円に。合計約12.6万円で、差はおよそ29.2万円です。
対象は平成21年3月31日以降に離職し、離職日において65歳未満で、雇用保険受給資格者証の離職理由コードが11・12・21・22・31・32(特定受給資格者)または23・33・34(特定理由離職者)の方。
雇用保険受給資格者証はハローワークで求職の申し込みにより発行されます。市がこう書いているとおり、離職票だけでは手続きできません。
必要なものは雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知と本人確認書類。窓口は保険年金課(0745-82-3672)です。
引っ越したら再申請が必要です。市は「前住所地で軽減措置を受けておられた方が、転入、転出をされた場合は、新住所地にて再度、軽減措置のための申請が必要となります」としています。
Q4. 自宅を売りました。3,000万円控除を使えば軽減に影響しませんか?
A. 影響します。宇陀市は「分離課税分の土地建物等に係る短期譲渡所得・長期譲渡所得は、特別控除適用前の金額で判定します」と明記しています。
所得割の計算では特別控除後の額を使うのに、軽減判定では特別控除前——扱いが逆です。
居住用財産を売った場合の3,000万円特別控除を使えば、譲渡所得が3,000万円以下なら課税所得はゼロ。所得税も住民税もかかりません。ところが国保税の軽減判定では、控除前の譲渡所得がそのまま見られます。
結果として「税金はまったくかからなかったのに、翌年度の国保税の7割軽減が消えた」ということが起こります。宇陀市の均等割+平等割は86,300円(40〜64歳単身)なので、7割軽減(60,410円)を失うと年約6万円の増加です。
逆に有利に働くルールもあります。宇陀市は「雑損失の繰越控除がある方は、控除後の額が軽減判定基準額になります」としています。
雑損失の繰越控除は、国保の所得割の計算では適用されないのが一般ルールです(宇陀市も所得割の説明では「総所得金額等から基礎控除43万円を引いた額」としています)。ところが軽減判定では控除後の額を使う。災害や盗難で大きな損失を出した方には有利です。
「軽減判定と所得割は別のルールで動く」——これが要点です。
宇陀市が明記している軽減判定の扱いは、ほかに3つあります。
①65歳以上の公的年金受給者は、年金所得から最高15万円まで控除できます。
②専従者給与は、軽減を判定する際に支払者の所得として計算します。家族に専従者給与を払っている自営業の世帯では、払った側の所得に戻して判定されます。
③青色申告者で繰越純損失がある場合、専従者給与を除いた金額で繰越損失額を計算します。(住民税とは計算方法が異なります。)——市が自ら「住民税とは計算方法が異なります」と注記している珍しい記載です。
判断に迷うときは保険年金課(0745-82-3672)へ。
Q5. 夫が75歳になります。世帯主を変えても大丈夫ですか?
A. 注意が必要です。宇陀市は「世帯主の異動があった場合、特定同一世帯所属者ではなくなります」と明記しています。
特定同一世帯所属者とは、市の定義で「後期高齢者医療制度の適用により国民健康保険の資格を喪失された方で、その喪失日以降も継続して同一世帯に所属する方」です。
この制度には2つの効果があります。
①軽減判定の人数にカウントされ続ける——5割軽減・2割軽減の基準額は「43万円+31万円×被保険者数」「43万円+57万円×被保険者数」と人数で決まります。後期高齢者医療に移った方が人数に残ることで、基準額が下がらずに済みます。
②特定世帯として平等割が半額——市は「後期高齢者医療制度に該当した方が国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行することにより国民健康保険の被保険者が1人になる世帯について、5年間医療分と後期高齢者支援金分の平等割額が半額になり、その後3年間、4分の3になります」としています。対象は20,000円+8,400円=28,400円。5年間は14,200円、その後3年間は21,300円です。
ところが「世帯主の異動があった場合、特定同一世帯所属者ではなくなります」。
夫が75歳になって後期高齢者医療に移り、そのタイミングで世帯主を夫から妻に変更すると、夫は特定同一世帯所属者でなくなるということです。すると——
・軽減判定の人数が減り、5割・2割軽減の基準額が下がる(軽減から外れる可能性)
・特定世帯の平等割半額が適用されなくなる可能性
世帯主変更には慎重に。実際に変更する必要がある場合は、事前に保険年金課(0745-82-3672)で影響を確認してください。
もう一方のパターン——あなたが夫の会社の健康保険の被扶養者だった場合は「旧被扶養者に対する減免措置」が使えます。(1)所得割は課税されない(当分の間)/(2)均等割額が半額/(3)旧被扶養者のみで構成されている世帯は平等割額も半額。ただし(2)(3)は資格取得日から2年間で、7割・5割軽減に該当する世帯には適用されません。こちらは申請が必要です。
Q6. 保険税を滞納するとどうなりますか?
A. 延滞金 → 滞納処分(財産の差押え・公売)→ 特別療養費(窓口10割負担)への変更、という3段階で進みます。
宇陀市はこの流れを明確に書いています。
①延滞金——「国民健康保険税は、定められた納期限までに自主的に納めていただくことになっています。滞納(納期限までに納付しないこと)されますと、延滞金がかかることになります」。
②滞納処分——「督促状や催告書等により、納税を再三お願いしても納税していただけないときは、納期限までに納められた方との公平を保つため、また、市の自主財源確保のため、やむを得ず滞納している方の財産を差し押さえ、さらにこれらの財産を公売・換価するなどの滞納処分を行うことになります」。差押えだけでなく、公売・換価まで明記されています。
③特別療養費の支給への変更——ここが最も影響の大きい措置です。「特別な事情がないにもかかわらず、1年以上前の国民健康保険税を滞納していると、事前に通知を送付したうえで、特別療養費の支給に変更する場合があります。特別療養費とは、医療費をいったん全額(10割)自己負担していただいた後、申請により保険給付分(7割または8割)の金額を支給する制度です」。
さらに市は「対象の方には、交付済の『資格確認書』または『資格情報のお知らせ』を返還していただき、それに代えて『資格確認書(特別療養)』または『資格情報のお知らせ(特別療養)』を交付します」としています。
病院の窓口でいったん10割払うことになります。3割負担なら1万円で済む診療が3万3千円。入院すれば数十万円の立替が必要です。後から申請すれば戻ってきますが、その場で払えなければ受診をあきらめることになりかねません。
滞納する前に相談してください。市は「さまざまなご事情により、納期限までに納付が困難な場合、納付相談を受け付けております。納付の方法や分割納付についてお気軽にご相談ください」としています。納付相談は総務部税務課(0745-82-1306/IP電話 0745-88-9072)です。
減免が使える場合もあります。宇陀市の減免事由は4つ——①震災・火災・風水害・その他の災害にあったとき/②世帯主または被保険者が長期の入院・事業の廃止等により世帯の収入が著しく減少したとき/③被保険者が刑務所等に収容されているとき/④生活保護法の規定による保護を受けたとき。「長期の入院」による収入減も対象です。
会社都合で退職した方は非自発的失業者の軽減を。給与収入400万円の40代単身なら年約29.2万円の差になります。
Q7. 自動で適用される軽減と、申請が必要なものの違いは?
A. 自動適用=低所得の軽減(7割・5割・2割)、未就学児の5割軽減、18歳未満の子ども分軽減。要申請=非自発的失業軽減、産前産後軽減、低所得者世帯に対する保険税軽減措置
(申請不要/要・所得申告)・未就学児にかかる保険税軽減措置
(申請不要)・18歳未満の子ども・子育て分均等割の全額軽減
(申請不要)・非自発的失業者に対する保険税軽減措置
(要申請)・産前産後期間にかかる保険税軽減措置
(要申請)・平等割額の軽減措置(特定世帯・特定継続世帯)
(申請不要)・旧被扶養者に対する減免措置
(要申請)・国保税の減免
(要申請)などの減免です。効き目の大きいものほど申請制——ここがミソです。
Q8. 退職後、国保の加入手続きはいつまでに?
A. 退職日の翌日から14日以内に宇陀市 市民環境部 保険年金課(0745-82-3672/IP電話 0745-88-9086)で。14日を過ぎても加入義務は退職日の翌日にさかのぼるので、手続きが遅れた分の保険料もまとめて請求されます。得はひとつもないので早めに。
9. まとめ|宇陀市の国保で押さえるべきポイント
- 宇陀市は3方式(所得割+均等割+平等割)。令和8年度の料率は医療分7.64%・後期支援分3.27%・介護分3.03%・子ども分0.31%
- 均等割は医療分27,600円・後期支援11,500円・介護16,900円・子ども1,900円、平等割は合計で年28,400円。賦課限度額は世帯合計で年112万円
- 宇陀市の税率は奈良県内統一税率。奈良県は大阪府と並び令和6年度に統一済みで、医療分の限度額は66万円据え置き・合計112万円(全国主流は67万円・113万円)
- 所得割は合計14.25%(医療7.64+支援3.27+介護3.03+子ども0.31/40〜64歳)。介護分3.03%は全国的に高い水準
- 記入式の「国民健康保険税試算表」を公開。介護分の所得割は「E(40〜64歳の所得)」、子ども分の均等割は「A-C(18歳以上の人数)」を使う
- 子ども・子育て分は「18歳未満の分を18歳以上が肩代わり」——均等割1,900円のうち200円が18歳以上被保険者均等割。市が仕組みを明記
- 令和8年度から納税通知書・納付書の様式を変更(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律)。市が「見方」PDFを2種類公開
- 令和8年1月以降発行の納付書はQR納付(スマホ決済・クレジット決済)に対応
- 軽減判定で譲渡所得は「特別控除前」、雑損失の繰越控除は「控除後」——所得割とは扱いが逆になる項目が両方向に存在する
- 非自発的失業の軽減は高額療養費の所得判定にも効く。転入・転出したら新住所地で再申請が必要
- 会社都合退職なら非自発的失業軽減。年29万3千円ほど変わることもあるのに届け出ないと1円も安くならない
- 収入がない年も住民税の申告を。しないと軽減判定が回りません
- 窓口は宇陀市 市民環境部 保険年金課(0745-82-3672/IP電話 0745-88-9086)
出典・参考:
・宇陀市公式:国民健康保険税
・宇陀市公式:国民健康保険とは
・宇陀市公式:国保Q&A
・宇陀市公式:国民健康保険税コールセンター事業
・宇陀市国民健康保険税条例
※本記事は2026年8月時点の令和8年度制度・料率に基づいています。最新の情報は宇陀市公式サイトでご確認ください。