毎年6月ごろ、自営業やフリーランス、退職後に会社の健康保険を離れた方のもとに、国民健康保険料(国保料)の納付書が届きます。物価高が続くなか「今年はいくらになるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
実は2026年度(令和8年度)は、国保料の仕組みそのものが大きく変わった年です。上限額の引き上げに加え、これまで3つだった保険料の区分が4つに増えるという、制度の根幹に関わる改正が行われました。
「自分の保険料は上がるの?下がるの?」という視点で、2026年度の変更点を厚生労働省の資料にもとづいてわかりやすく整理します。
まず前提|国保料はどうやって決まる?
国保料は、次の区分ごとに「所得割(前年所得に応じた額)」と「均等割(加入者1人あたりの定額)」などを積み上げて計算します(自治体により平等割が加わることも)。
- 医療分:全加入者が負担
- 後期高齢者支援金分:全加入者が負担
- 介護分:40〜64歳の人がいる世帯のみ
- 子ども・子育て支援金分:2026年度から新設(第4の区分)
料率や均等割額は市区町村ごとに異なるため、正確な金額はお住まいの自治体で確認が必要です。以下では2026年度の共通の変更点を解説します。
2026年度改正の4つのポイント
| 変更点 | 内容 | 影響を受ける人 |
|---|---|---|
| ①上限額の引き上げ | 賦課限度額を引き上げ(医療分66万円→67万円) | おもに高所得世帯 |
| ②新区分の新設 | 「子ども・子育て支援金分」を新設 | 全加入者(ただし子どもは均等割0円) |
| ③軽減基準の拡大 | 5割・2割軽減の所得基準を引き上げ | 低〜中所得世帯 |
| ④控除の見直し | 給与所得控除の最低額引き上げ | 給与収入のある加入者 |
①上限額(賦課限度額)が引き上げに
国保料には「これ以上は上がらない」という上限額(賦課限度額)があります。2026年度は、この上限が引き上げられました。
- 医療分:66万円 → 67万円(+1万円)
- 後期高齢者支援金分:26万円(据え置き)
- 介護分:17万円(据え置き)
- 3区分の合計上限:109万円 → 110万円
さらに、後述の新区分「子ども・子育て支援金分」にも別枠で上限が設けられ、これを合わせると自治体によっては合計113万円程度まで上がります。
ただし、上限に達するのは年収1,170万円前後を超える世帯で、国保加入世帯全体の1〜2%程度とされています。多くの世帯には直接影響しませんが、フリーランスや個人事業主で高所得の方は負担増となる可能性があります。
②「子ども・子育て支援金分」新設|でも子どもの負担は増えない
2026年度の最大の変化が、保険料に「子ども・子育て支援金分(子ども・子育て支援納付金分)」という第4の区分が加わったことです。少子化対策の財源を社会全体で支える「子ども・子育て支援金」制度にともなうもので、年齢に関係なくすべての国保加入者が対象になります。
「子育て世帯の負担が増えるの?」と心配になりますが、そうではありません。ポイントは次のとおりです。
- 所得割・均等割として上乗せされる(自治体により所得割0.25〜0.34%程度、均等割1,000〜1,900円程度)
- ただし18歳到達年度末までの子どもは、この均等割が全額軽減(0円)される
- したがって、子育て世帯の実質的な負担は増えにくい設計になっている
実際には、子どものいない世帯や単身世帯にとっては純粋な上乗せとなり、負担がわずかに増えます。金額は自治体ごとに確定しているので、納付書や自治体サイトで内訳を確認しましょう。
③低所得世帯の軽減基準が広がった
所得が低い世帯は、均等割・平等割が7割・5割・2割軽減される制度があります。2026年度は、この判定基準の一部が引き上げられ、より多くの世帯が軽減を受けやすくなりました。
| 軽減割合 | 世帯の総所得の基準(目安) |
|---|---|
| 7割軽減 | 43万円+(給与・年金所得者の数−1)×10万円 以下 |
| 5割軽減 | 上記+31万円×被保険者数 以下 |
| 2割軽減 | 上記+57万円×被保険者数 以下 |
重要な注意点:この軽減は申請不要で自動適用されますが、世帯全員が住民税の申告をしていることが前提です。収入がゼロの人も「所得がない」という申告をしていないと、軽減が受けられないことがあります。
④給与所得控除の引き上げで下がる人も
2025年の税制改正により、給与所得控除の最低額が引き上げられました。国保料は「前年の所得」をもとに計算されるため、給与収入のある加入者は保険料の計算のもとになる所得が下がり、結果として保険料が下がるケースがあります。パート・アルバイト収入で国保に入っている方などは、恩恵を受けやすい変更です。
結局、あなたの保険料は上がる?下がる?
- 高所得の自営業・フリーランス:上限引き上げ+新区分で負担増になりやすい
- 子育て世帯:子どもの均等割は0円のため、新区分の影響は限定的
- 単身・子どものいない世帯:新区分のぶんわずかに増
- 低〜中所得世帯:軽減基準の拡大や控除見直しで据え置き〜微減の可能性
【2027年4月の予告】子どもの均等割軽減が高校生まで拡大
さらに先の話として、2026年5月に成立した法改正により、2027年(令和9年)4月から、子どもの均等割5割軽減の対象が「未就学児」から「高校生年代(18歳到達年度末まで)」へ拡大されます。
- 軽減割合は現行どおり5割、所得制限なし
- 新たに小学生〜高校生年代の子どもがいる国保世帯が対象に
- 申請は原則不要(自治体が自動適用の見込み)
- 低所得世帯の7割・5割・2割軽減とも併用できる
子どもの多い国保世帯にとっては、今後さらに負担が軽くなる方向の改正です。
保険料が「高い」と感じたら
上限の引き上げが話題になりがちですが、多くの世帯にとって大切なのは軽減・減免を取りこぼさないことです。
- 収入が少なくても必ず住民税の申告をする(軽減の前提)
- 失業・退職なら「非自発的失業者の軽減」(前年給与所得を30%とみなす)を確認(参考:失業時の軽減措置ガイド)
- 災害・収入の大幅減などは減免申請ができる場合がある
- そのほか効く対策・効かない対策は保険料を下げる方法にまとめています
なお、退職して国保に入る人と、任意継続や家族の扶養を選ぶ人では有利・不利が分かれます。任意継続 vs 国保の比較もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
- Q. 上限が上がると、みんな保険料が上がるのですか?
A. いいえ。上限(賦課限度額)に達しているのは高所得の一部世帯だけです。上限に届いていない多くの世帯には直接の影響はありません。 - Q. 子どもがいると新しい区分のぶん高くなりますか?
A. 18歳到達年度末までの子どもは新区分の均等割が全額軽減(0円)です。子どもの人数が増えても、その子ども分は上乗せされない設計です。 - Q. 「国民健康保険税」と書かれていますが、同じですか?
A. 自治体により「保険料」か「保険税」かの名称の違いはありますが、仕組みは基本的に同じです。今回の改正内容も共通です。 - Q. 正確な金額はどこで分かりますか?
A. 料率は市区町村ごとに異なります。届いた納付書、または自治体ホームページの「保険料率」「均等割額」でご確認ください。
まとめ
2026年度(令和8年度)の国保料改正のポイントを整理します。
- 上限額(賦課限度額)が引き上げ(医療分66万→67万円、合計110万円〜)。影響はおもに高所得世帯
- 「子ども・子育て支援金分」が新設。ただし18歳年度末までの子どもの均等割は0円
- 低所得世帯の軽減基準が拡大。申告忘れで取りこぼさないよう注意
- 給与所得控除の見直しで保険料が下がる人も
- 2027年4月からは子どもの均等割5割軽減が高校生年代まで拡大予定
制度は毎年少しずつ変わります。納付書が届いたら金額だけでなく内訳を確認し、軽減や減免の可能性がないか一度チェックしておきましょう。
※本記事は厚生労働省「令和8年度の国民健康保険の賦課限度額について」および関連法令にもとづく2026年7月時点の情報です。料率・均等割額・子ども子育て支援金分の額は市区町村により異なります。正確な金額は加入先の自治体でご確認ください。