国民健康保険の加入手続きの方法、加入条件や必要書類の一覧

国民皆保険の日本では、会社を退職したサラリーマンは次の仕事が見つかるまでや、もしくは、起業やフリーランスなど自営業を営む場合には、必ず国民健康保険に加入する義務があります。

会社を退職して直ぐに次の就職先が見つかると思って国民健康保険に加入していないと、病気や怪我をして病院に行っても診察を拒否されることもあります。

また、国民健康保険に加入していなければ、医療費は全額負担。手術をしたり入院すれば驚くような金額を請求されることもあり得ます。

ただその場合でも、未払いの国民健康保険の保険料を支払えば3割負担で済み、後の残りの7割の医療費が戻ってきます。

自己負担割合は原則として70歳未満は3割です。70歳~74歳は所得区分に応じて1割・2割・3割となり、75歳以上は原則1割(所得区分により2割・3割となる場合あり)です。自己負担割合は毎年8月1日時点の住民税課税所得などをもとに判定されます。  

そこで今回は、国民健康保険の加入手続きの方法や、加入条件や必要書類の一覧を詳しく説明していきます。

国民健康保険の手続きが必要なケースと必要書類の一覧

国民健康保険の加入手続きは、自分が住んでいる各市区町村で行います。


2016年1月からマイナンバー制度の運用が開始され、同年10月以降、加入申請書にもマイナンバー記載欄が設けられています。そのため、個人番号カードや通知カードに加え、運転免許証やパスポートなどの公的本人確認書類も必要です。

またマイナンバーカードを医療機関・薬局で健康保険証として利用することができる、「マイナ保険証」も保険証として利用できるため、マイナンバーカードが必要です。

国保に加入するとき

届出の必要な事柄必要書類
他市区町村から転入してきたとき転出証明書
職場の健康保険をやめたとき資格喪失証明書(健康保険をやめた証明書)
子どもが生まれたとき保険証、母子健康手帳
生活保護を受けなくなったとき保護廃止決定通知書
外国人が加入するとき在留カードまたは特別永住者証明書、マイナンバー確認書類

例えば、会社を退職した場合には社会保険の資格喪失証明書、退職者医療制度の対象者の場合にはこれに加えて年金証書が必要になります。生活保護を受ける必要がなくなった場合は、生活保護の廃止決定通知書を各市区町村の担当窓口まで持参します。

国保をやめるとき

届出の必要な事柄必要書類
他市区町村へ転出したとき保険証
職場の健康保険に加入したとき国保と職場の両方の保険証
死亡したとき保険証、死亡を証明するもの
生活保護を受けるようになったとき保険証、保護開始決定通知書
外国人がやめるとき保険証、在留カードまたは特別永住者証明書、マイナンバー確認書類

国民健康保険に加入していて会社に就職した場合には、保険証を返すために、国民健康保険の保険証を各市区町村の担当窓口まで持参します。

また、生活保護を受ける場合には、国民健康保険の保険証と生活保護の開始決定通知書を持参します。

その他

届出の必要な事柄必要な書類
住所、世帯主、氏名などが変わったとき保険証
保険証をなくしたり、汚れて使えなくなったとき保険証、身分証明書(免許証など)
長期旅行などで別の保険証が必要なとき保険証
修学のため、別に住所を定めるとき保険証、在学証明書
退職者医療制度に該当したとき保険証、年金証書
退職者医療制度に該当しなくなったとき保険証

保険証を紛失してしまった場合は窓口へ

もし、国民健康保険に加入した後に保険証を紛失した場合には、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど身分証明書になるもの持参しましょう。

国民健康保険に加入しなくてもいいのはどんな場合か

日本の健康保険制度では、在日の外国人の方であっても、在留期間が1年以上の場合には必ずいずれかの健康保険に加入しなくてはならないという制度です。

サラリーマンの方が会社を退職した場合には配偶者の社会保険の被扶養者になるか、社会保険の任意継続の手続きを行わない時には国民健康保険に加入する義務があります。

しかし、

  • 船員保険に加入している場合と、その扶養家族
  • 生活保護を受けている
  • 後期高齢者医療制度の対象になる75歳以上の高齢者の方
  • 国民健康保険組合に加入している方とその世帯家族

これらの場合は国民健康保険に加入しなくてもいいんです。

国民健康保険とは違う?国民健康保険組合

国民健康保険組合とは、医師や弁護士や美容師や理容師などの同業組合で組織される保険組合で、2021年9月末時点で全国162組合、約273万人の被保険者がいます。国民健康保険組合の設立には都道府県知事の認可が必要です。

国民健康保険組合の保険料は加入者個人が払います。社会保険のように事業主が負担する義務はありません。

国民健康保険組合は、名前が国民健康保険に似ていて、受けられる内容もほぼ同じなんですが、全くの別組織です。

国が年間に約3千億円の助成金を行っていて、個人の保険料の負担を軽減していることもあり、国民健康保険に比べて保険料が割安であることが多いです。

国民健康保険組合に入るためには、職種などの条件がかなり厳しいため、誰でも入れるわけではないのですが、もし、国民健康保険組合に入れる条件をクリアしていた場合は、入った方がお得になることがほとんどです。

会社を退職したサラリーマンにはいくつかの選択肢がある

会社を退職したサラリーマンは、会社で加入していた社会保険が切れることになり、他の健康保険への加入が義務付けられています。しかし実は、健康保険への加入の他にもいくつかの選択肢があります。

1.配偶者の社会保険の被扶養者になる

一つは、結婚していて共働き家庭でそれぞれ会社の社会保険に加入している場合に、配偶者の加入している会社の社会保険の被扶養者なる方法です。

よくあるのは、妊娠などで妻が勤務していた会社を退職し、ご主人の社会保険に加入するケース(もちろんこの逆もあります)です。この場合は、被扶養者異動届の手続きが必要になります。

2.任意継続の続きは20日以内に

会社の社会保険も、主に上場企業のような大企業が加入する協会けんぽと呼ばれる全国健康保険協会と、主に中小企業が加入する健康保険組合とあります。社会保険の任意継続を希望する場合には、それぞれ協会けんぽと健康保険組合に申請を行います。

例えば、協会けんぽの場合は会社を退職した20日以内に行う必要があり、20日を過ぎて社会保険の任意継続の手続きを行っても受け付けられません。

上記2つの場合以外には、国民健康保険に加入することになります。

まとめ

国民健康保険の加入手続きは個人でする必要があります。国民健康保険に加入していないからといって、市役所や町役場から加入手続きの催促などは特にありません。

国民健康保険に加入しないまま、病気に掛かったり大きな怪我をして病院に行っても、国民健康保険に加入していなければ全額負担。手続きをすれば後で一部返ってくるとはいえ、大きな負担になります。

いつ交通事故に遭ったり大きな病気に掛るか分からないので、会社を辞めた場合には必ず国民健康保険に加入するようにしましょう。

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