引っ越しって、やることが山ほどありますよね。電気・ガス・ネット・住所変更…。そのなかでつい後回しにされがちなのが国民健康保険(国保)の手続きです。でもこれ、放っておくと「引っ越したのに旧住所の保険料を請求され続ける」「いざ受診したら無保険で全額自己負担」なんてことになりかねません。地味に怖い。
結論から言うと、市区町村をまたぐ引っ越しでは旧住所で「脱退(資格喪失)」、新住所で「加入」の2段階が必要です。そして国保料は日割りではなく月割り。ここを誤解している人がすごく多い。この記事では、転出・転入の流れ、保険料の精算、マイナンバーカードを使った引越しオンライン手続き、無保険を防ぐコツまで、2026年の最新ルールで整理します。
・別の市区町村へ引っ越す…旧市町村で脱退+新市町村で加入の2回(この記事のメイン)
・同じ市区町村内で引っ越す…住所変更の届出のみ。国保は継続(マイナ保険証なら住所変更も自動で反映)
別の市区町村へ引っ越すときの流れ(2段階)
STEP1:旧住所での手続き(転出+国保の資格喪失)
引っ越し前に、住んでいた自治体に転出届を出します。このとき国保の資格喪失(脱退)手続きも一緒に。期限は転出日から14日以内が目安です。
必要なもの:
- 国民健康保険証 または 資格確認書(世帯の対象者全員分)
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
- 印鑑(不要な自治体が多い)
STEP2:新住所での手続き(転入+国保の加入)
新しい自治体で転入届を出し、同時に国保の加入手続きをします。期限は転入日から14日以内。
必要なもの:
- 転出証明書(旧自治体で発行されたもの)
※マイナンバーカードで「特例転出」をした場合は転出証明書が発行されず、マイナンバーカードを持参して転入手続きをします - 本人確認書類・マイナンバーが分かるもの
- 印鑑(不要な自治体が多い)
手続きが終わると、新しい自治体から保険証の代わりに「資格情報のお知らせ」(マイナ保険証保有者)や「資格確認書」(マイナ保険証なし)が交付されます。これが手元に届くまでは旧保険証は使えません。
マイナンバーカードがあると引っ越しがラク
2023年に始まった「引越し手続オンラインサービス」を使うと、マイナンバーカードを持っている人はマイナポータルから転出届をオンライン提出し、転入先の来庁予約までできます。窓口に行くのは転入手続きの1回で済むことも。
さらに、従来の紙の健康保険証は2024年12月2日に新規発行が終了し、マイナ保険証(マイナンバーカードと一体化)が基本に。マイナ保険証を使っていれば、同一市区町村内の引っ越しでは住所変更が自動で反映され、保険証の差し替えも不要です。ここは正直ラクになりました。
保険料はどうなる?――「月割り」が鉄則
ここが最大の誤解ポイント。国保料は日割りではなく月割りです。月の途中で引っ越しても、その月の保険料は1日であっても新住所(転入先)に支払います。旧住所の自治体には、転出月の前月分までを支払う形になります。
| 引っ越し(転入)日 | 旧住所に払う最後の月 | 新住所に払い始める月 |
|---|---|---|
| 5月1日 | 4月分まで | 5月分から |
| 5月20日 | 4月分まで | 5月分から |
| 5月31日 | 4月分まで | 5月分から |
5月のどの日に引っ越しても、5月分は新住所。旧住所は4月分まで。日付は関係なく月で切り替わる――ここを押さえておけば二重払いの不安はほぼ消えます。
すでに年間保険料を分割で払っていた場合
旧住所では年間保険料を分割(例:6月〜翌3月の10回)で払っていることが多いです。年の途中で転出すると、転出後の月に対応する分は精算・還付されます。逆に、転出月の前月分までに未納があればその分は請求されます。
こわい「二重払い」と「無保険」――防ぎ方
二重払い
旧住所の口座振替を止め忘れると、新住所の保険料と旧住所の保険料がダブルで引き落とされることがあります。重複分は旧自治体で還付申請すれば戻ります(国保料は過去にさかのぼって精算可)。納付書・引き落とし明細は必ず確認を。
無保険状態
転出だけして転入先の加入手続きを忘れると、一時的に無保険に。この間に受診すると医療費が全額(10割)自己負担になります。しかも、加入手続きが遅れても国保資格は転入日にさかのぼって発生するため、最長で2〜3年分の保険料をまとめて請求されることも。先延ばしにいいことはありません。
ケース別モデルケース
ケース1:県外へ転職引っ越しの佐藤さん(28歳・5月20日転入)
A市からB市へ。
→ A市で5月15日に転出届+国保資格喪失、B市で5月20日に転入届+国保加入。保険料は4月分までA市、5月分からB市。月割りなので5月の日付は気にしなくてOK。
ケース2:手続きを忘れて全額負担した田中さん(35歳)
転出届は出したが、転入先での国保加入を1か月放置。その間に通院し、窓口で全額自己負担に。
→ 後日加入手続きをし、転入日にさかのぼって資格取得。療養費の申請で7割分は戻ったが、手間と時間がかかった。「転出したらその足で転入の加入手続き」が鉄則。
ケース3:マイナンバーカードでオンライン転出した鈴木さん(31歳)
マイナポータルから転出届をオンライン提出し、転入先の来庁予約も実施。
→ 転出証明書は発行されず、マイナンバーカードを持って転入窓口へ1回行くだけで国保加入も完了。窓口の待ち時間が大幅に短縮。
ケース4:同一市内で引っ越した高橋さん(40歳)
同じ市内でアパートを移った。
→ 必要なのは住所変更の届出のみ。国保は継続で資格喪失・加入は不要。マイナ保険証を使っているので住所情報も自動反映され、保険証の差し替えもなかった。
引っ越し国保手続きの判断フロー
- 引っ越し先は同じ市区町村?別の市区町村?
- 同じ市内 → 住所変更の届出だけ(国保は継続)
- 別の市区町村 → ①旧住所で転出届+国保資格喪失(14日以内) → ②新住所で転入届+国保加入(14日以内)
- 旧住所の口座振替を止め、精算・還付を確認
- 新しい資格確認書/資格情報のお知らせが届くまで受診は注意(急ぐ場合は窓口で相談)
よくある質問(FAQ)
Q1. 引っ越した月の保険料は新旧どちらに払うの?
転入した月の分から新住所に払います。旧住所は転出月の前月分まで。日割りではなく月単位なので、月の何日に引っ越しても結果は同じです。
Q2. 転出証明書は必ず必要ですか?
紙で転出届を出した場合は必要です。ただしマイナンバーカードで特例転出(オンライン含む)をした場合は転出証明書は発行されず、マイナンバーカードを持参して転入手続きを行います。
Q3. 手続きが14日を過ぎたらどうなりますか?
罰則はありませんが、旧住所の保険料を余計に請求されたり、転入加入が遅れて受診時に無保険扱いになったりするリスクがあります。さかのぼって保険料を請求されることもあるため、早めに。
Q4. 新しい保険証(資格確認書)が届く前に病院に行きたい
転入の加入手続き自体は済んでいれば、窓口でその旨を伝えてください。資格確認書の即日交付や、後日精算で対応してもらえることがあります。手続き前に受診すると全額自己負担になるので、まず加入手続きを。
Q5. 単身赴任や学生の下宿でも手続きが必要?
住民票を移すかどうかで変わります。住民票を移す場合は通常の転出入手続きが必要。学生で実家の世帯にとどまる場合などは扱いが異なるため、各自治体に確認してください。
Q6. 引っ越し前に旧住所の保険料を滞納していたら?
転出しても未納分の支払い義務は残ります。旧自治体から請求が続くので、転出時に未納の有無を確認し、清算しておきましょう。放置すると督促・延滞金の対象になります。
まとめ:引っ越し国保のチェックリスト
- ☑ 別の市区町村へ → 旧住所で脱退+新住所で加入(各14日以内)
- ☑ 同じ市区町村内 → 住所変更の届出だけ(国保は継続)
- ☑ 保険料は月割り。引っ越し月は新住所、旧住所は前月分まで
- ☑ 旧住所の口座振替を止める。二重払いは還付申請で取り戻せる
- ☑ 転入加入を忘れると無保険+さかのぼり請求。先延ばし厳禁
- ☑ マイナンバーカードなら引越しオンライン手続きで窓口を1回に
引っ越しのバタバタの中でも、国保だけは「旧で抜けて新で入る」をセットで覚えておけば大丈夫。新生活を無保険の不安なくスタートさせましょう。なお、就職にあわせた国保脱退の話は「会社に就職したときの国民健康保険の脱退手続き」で詳しく解説しています。
※本記事は2026年6月時点の制度に基づきます。手続き期限・必要書類・マイナンバーカードによる引越しオンライン手続きの対応状況・保険料の精算方法は、自治体により異なり、変更されることがあります。正確な手続きは、引っ越し元・引っ越し先それぞれの市区町村の公式情報をご確認ください。
主な出典:各市区町村(札幌市・世田谷区・大阪市・岐阜市・日野市ほか)の国民健康保険・引越し手続き案内、デジタル庁/マイナポータル「引越し手続オンラインサービス」、厚生労働省「マイナ保険証・健康保険証」関連情報。