「国保」と「介護保険」は兄弟、だけど仕組みはちょっと違う、そんなお話

国民健康保険と介護保険は、日本の社会保障制度の中で重要な役割を果たしています。両者は異なる目的を持ちながら、密接に連携しており、高齢化社会において特に重要な存在です。しかし、これらの仕組みや負担額の違いを正確に理解していないと、トラブルや誤解が生じやすい部分もあります。

国保は「医療のパートナー」

国民健康保険(略して“国保”)は、自営業の方や退職された方、パートタイムで働いて社会保険に入っていない方などが加入する医療保険です。診療・入院・薬代など、いざというときの医療費の負担を軽くしてくれる、いわば「自分も地域も守る助け合いの仕組み」です。

  • 加入者に応じて割り当てられる「所得割」「均等割」「平等割」が保険料のベース。
  • 医療を受けたら、まずは窓口で自己負担(原則3割)、残りは保険がカバー。

介護保険の役割

介護保険は、40歳以上の国民が対象となる保険制度で、介護が必要になった際に介護サービスを受けるための仕組みです。国民健康保険と並行して運営されており、必要な場合に応じて介護サービスを利用できます。

  • 保険料:40歳から64歳までは加入している医療保険に上乗せして支払う形。65歳以上は年金から天引きされる。
  • 適用範囲:訪問介護、デイサービス、介護用品の貸与など。

よくあるトラブルと間違えやすいポイント

保険料の支払いに関するトラブル

  • 40歳以上の負担増加
    40歳以上になると、国民健康保険料に介護保険料が上乗せされます。これに気づかず、「保険料が急に高くなった」と驚く人が多いです。保険料の計算方法を確認し、自治体から送付される通知をよく読むことが重要です。
  • 滞納によるペナルティ
    国民健康保険料や介護保険料を滞納すると、保険証が短期証や資格証明書に切り替わることがあります。この場合、医療費や介護サービスの利用に制限がかかる場合があり、不利益を被る可能性があります。

サービスの誤認識

  • 医療と介護の線引きの混乱
    「どこまでが医療サービスで、どこからが介護サービスなのか」がわからず、医療費で請求されるべきものを介護保険でカバーできると思い込むケースが多々あります。たとえば、リハビリテーションの一部は医療保険適用になる場合があるため、事前確認が必要です。
  • 介護サービスの申請手続きの混乱
    介護サービスを利用するには、市町村への申請や要介護認定が必要ですが、これを知らないまま「利用できるはず」と考え、トラブルになるケースがあります。

手続きの煩雑さ

  • 転居による負担の増減
    国民健康保険料や介護保険料は自治体ごとに異なるため、引っ越しをすると負担額が変わることがあります。これを知らずに予算計画に支障をきたす人もいます。
  • 届出漏れ
    家族構成の変化や所得の増減を届け出ないと、適切な保険料が計算されない可能性があります。特に、40歳になった際の介護保険料の追加通知を見逃すと、後でまとめて請求されることがあります。

保険料UPは厳しいけれど・・・

実際に40歳を迎えた際、国民健康保険料に介護保険料が加算されることを知らず、急に支出が増えて困惑した経験があります。保険料通知をよく確認し、不明点は早めに市役所や役場に相談することを強くお勧めします。また、介護サービスを申請する際には、地域包括支援センターやケアマネージャーを活用することで手続きがスムーズになります。

国民健康保険と介護保険は、私たちの生活を支える大切な仕組みですが、理解不足からトラブルにつながりやすい側面もあります。定期的に制度の最新情報を確認し、必要な手続きを怠らないようにすることで、安心して制度を活用できます。

将来の安心を深めるもう一つの視点

医療保険・介護保険制度を理解することは、暮らしの安心につながる第一歩です。ですがその先にある、「実際に介護・福祉の場面でどのように備え支えるか」という視点も大切です。その意味で、家族を支える立場の方や、将来的に介護・福祉を考えておきたい方に向けて、専門的かつ分かりやすく情報を発信している「そっとケア」をご紹介します。

こちらのサイトでは、介護や福祉の制度だけでなく、日常で役立つケアのヒントや、家族のこころの支えになりうる実例・コラムが多数掲載されています。ぜひ、医療・保険の知識を深めたうえで、ひとつ先の“支えあう暮らし”のためにご覧になってみてください:

そっとケア


コラム:国保・介護保険を賢く使うための3つのヒント

  1. 保険料の通知書は開封とチェックを忘れずに! 「なんとなく高くなった」ではなく、何が理由かを確認しましょう。
  2. 自治体への手続きは小さな変更も報告を 結婚・離婚・転居・収入変化など、届出で軽減措置が受けられることも。
  3. サービスを受ける前に「適用保険」をきちんと確認 それぞれの介護サービスが医療か介護かで負担が変わります。事前確認で安心を手に。

まとめ

国民健康保険と介護保険は、目的や支払い方法は違いますが、どちらも暮らしを支える大切な公的制度です。

  • 国保は、医療費の自己負担を軽くするための制度で、自営業者や社会保険未加入者などが対象。
  • 介護保険は、介護や支援が必要になったときにサービスを受けるための制度で、40歳から自動的に加入。
  • 40歳になると国保の保険料に介護保険料が加わるため、負担が増えるタイミングや額を事前に把握することが重要。
  • どちらの制度も、市区町村によって料率や手続きが異なるため、引越しや家族構成の変化があれば必ず自治体に報告を。
  • 医療と介護の境界にあるサービスもあるため、「どちらの保険が適用されるのか」を事前に確認することで、想定外の出費を防げます。
  • 将来の「暮らしを支える」準備として、医療・保険制度を理解したうえで、介護や福祉の視点も取り入れておくと安心です。家族を支える視点や実例まで丁寧に扱っている「そっとケア」もぜひご覧ください。

制度を正しく理解し、タイミングや手続きを逃さず行えば、医療と介護の両面で安心して暮らすことができます。

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