外国人が国民健康保険を悪用して高額医療を受けている!? どうして加入できるの? 悪用されるポイント、抜け穴はこれだ!

2017年1月10日に行われた政府発表によると、2016年度に日本を訪れた外国人旅行者の人数が、推計で前年比22%増の2403万9000人だったことが分かりました。

日本を訪れた外国人旅行者の人数が前年を上回ったのは2016年で5年連続。政府は、東京オリンピックが開催される2020年には、4000万人の外国人旅行者が日本を訪れることを目標を掲げています。

さらに法務省の発表によると、2015年末時点での在留外国人の人数は、前年比5.2%増の223万2189人で、統計を取り始めた1959年以降で最も多く、これは留学や技能実習の目的で日本に滞在する人がそれぞれ15%増えたからと分かっています。

日本を訪れる外国人旅行者の場合、日本人が海外を訪れる時に加入するように海外保険に加入するのが普通で、もし日本を訪れた外国人旅行者が怪我や病気に掛かった場合には、高額な医療費を請求されます。

しかし、在留外国人の場合、要件を満たせば日本の国民健康保険に加入できます。近年ではこの制度を悪用し、留学生と偽って日本に入国して高額医療を受ける外国人が急増しています。

そこで今回は、外国人でも加入できる、日本の国民健康保険制度に問題がないのか検証してみます。

厚労省が制度や運用の見直しを検討している国民健康保険

厚労省の発表で、日本を訪れる外国人の中に、実際は留学目的ではないのに留学などと偽って日本に入国し、日本の国民健康保険に加入して1割から3割の自己負担で高額な治療を受けて帰国する事例が増加していることが判明しました。

日本を訪れた外国人旅行者の場合は日本の国民健康保険に加入できませんが、留学生や技能実習生の場合は、日本の国民健康保険に加入できるためです。

本当は医療目的で日本を訪れているのもかかわらず、入国審査では語学目的で来日したと偽って国民健康保険に加入して高額医療を受けるという、悪質な手口です。

国民健康保険を悪用するケースで多いのが、肝炎の治療や、高額ながん治療薬のオプジーボを使った治療、移植医療などの高額医療を受けるというケースです。

医療目的での滞在を隠して来日

国民健康保険を悪用しているのは、主に中国人をはじめとする、アジア地域から日本を訪れている外国人で、その多くは日本での治療が終わると帰国するというものです。

本来、医療目的で来日する外国人の場合は医療滞在ビザを取る必要があり、その場合は国民健康保険に加入することはできず、日本で受けた医療費は全額自己負担になります。

厚生労働省は、日本を訪れる外国人の国民健康保険の悪用を把握していて、厚生労働省が推進する医療ツーリズムの中で、このような国民健康保険の悪用が拡大すれば、日本の医療費の増大につながるとして、在留資格の適正な管理や国民健康保険制度の見直しも必要だと訴えています。

外国人が国民健康保険に加入する必要があるケース

2012年(平成24年)7月9日から改正住民基本台帳法が施行され、合法的に日本に3か月以上在留する外国人住民で、

  • 健康保険組合・協会けんぽ・共済組合・国民健康保険組合など会社の健康保険に加入していない場合
  • 生活保護を受けていない方で75歳未満の方

これらに該当する方は、住民登録している各自治体の国民健康保険に加入する必要があります。

外国人が国民健康保険に加入できないケース

在留資格や在留期間によっては、国民健康保険に加入することができません。

以下の場合は、加入できません。

  • 在留期間が3か月以下
  • 在留資格が「特定活動」で、医療目的で滞在する外国人とその帯同者
  • 在留資格が「特定活動」で、観光・保養その他これらに類似する活動を行う18歳以上の方とその外国人配偶者
  • 日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の外国人で、本国政府からの社会保障加入の証明書がある場合

改正住民基本台帳法が施行されるまで、外国人の場合は、1年以上の在留期間が決定されていることが国民健康保険の加入要件となっていましたが、この住民基本台帳法の改正に伴い、3か月を超える在留期間が認められた外国人の場合は国民健康保険に加入する義務が生じました。

在留期間が3か月以下でも国民健康保険に加入できるケースがあります

在留資格が「興行」・「技能実習」・「家族滞在」・「特定活動」の場合、在留期間が3か月以下であっても、滞在が3か月を超えることを証明する書類がある場合は、国民健康保険に加入できます。

なお、「特定活動」においては、上記「加入できないケース」の要件のとおり、

  • 在留資格が「特定活動」で、医療目的で滞在する外国人とその帯同者
  • 在留資格が「特定活動」で、観光・保養その他これらに類似する活動を行う18歳以上の方とその外国人配偶者

に該当する場合は、国民健康保険に加入できません。

まとめ

日本の保険制度では、保険適用外治療を除き、1割から3割の自己負担で高額な治療を受けることができます。

また、合法的に日本に3か月以上在留する外国人住民であれば、日本人と同じように国民健康保険に加入することができるので、安心して日本で生活ができます。

日本の治療費はかなり高額なので、健康保険証を持たなかった場合に、病院など医療機関によっては診療を拒否されることがあるとは言え、外国人向けに健康保険の門戸を開いていることは間違いありません。

しかし、それはあくまで、制度の趣旨を遵守した上でのものであって、国民健康保険を悪用する外国人の存在は見逃すべきものではありません。政府の対応が求められます。

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