母子家庭のための国民健康保険の軽減や免除などさまざまな支援や制度

統計によると、日本の離婚率はおよそ3分の1と言われています。これだと結婚したカップルの3組に1組が離婚していることになります。

離婚の増加に伴って母子家庭も増えており、2010年に総務省が発表した日本国内のシングルマザーの数は、108万人以上でした。

母子家庭になった内訳は、離婚が約80%と圧倒的に多く、次に未婚が約12%と続き、死別が約7%となっています。

離婚の原因は様々ですが、最も多いのが、いわゆる性格の不一致。他にも、両親との折り合いが悪かったり、言葉による暴力のモラルハラスメントであったり、アルコールやギャンブル依存症で生活費を家庭に入れなかったり、浮気、家庭内暴力、DVなど、多岐にわたっています。

ただ、いずれにしても、母子家庭になっても自分の子供の生活は守ってあげたいと思う気持ちは、母親であれば誰でも同じはずです。

母子家庭になった場合、日本国内には生活を支援してくれる16の手当てと助成制度があります。今回は母子家庭のための国民健康保険をはじめとして、主な母子家庭のための手当てや助成制度について詳しくご紹介していきます。(各手当の金額は平成29年4月現在のものです。)

母子家庭のための児童扶養手当について

児童扶養手当は母子手当とも呼ばれていて、両親が離婚した場合や、父親または母親が亡くなったりした場合に、子供が0歳から18歳の3月31日になるまで地方自治体から支給されます。

児童扶養手当の月の支給額は、所得に応じて全額支給一部支給不支給とあり、全額支給の場合は4万2290円で、一部支給の場合は9980円から4万2280円です。一部支給の場合は所得に応じて10円単位で支給金額が変わります。

また、子供が2人以上の場合の第2子の加算額は、全額支給の場合は9990円で、一部支給の場合は5000円から9980円です。

第3子以降の加算額は、1人につき、全額支給の場合は5990円で、一部支給の場合は3000円から5980円です。

一覧にまとめるとこのようになります。

児童扶養手当の支給額 全額支給 一部支給
第1子 4万2,290円 9,980円~4万2,280円
第2子の加算額 9,990円 5,000円~9,980円
第3子以降の加算額 5,990円 3,000円~5,980円

所得限度額

母子家庭のための児童扶養手当には所得限度額があります。これにより、全部支給・一部支給・不支給が分かれることになります。

限度額は、税法上の扶養親族等の数により変わります。

扶養親族等の数が0人の場合

全額支給の所得限度額は19万円、一部支給の所得限度額は192万円、孤児等の養育者・配偶者・扶養義務者の所得限度額は236万円です。

扶養親族等の数が1人の場合

全額支給の所得限度額は57万円で、一部支給の所得限度額は230万円、孤児等の養育者・配偶者・扶養義務者の所得限度額は274万円です。

扶養親族等の数が2人の場合

全額支給の所得限度額は95万0000円で、一部支給の所得限度額は268万円、孤児等の養育者・配偶者・扶養義務者の所得限度額は312万円です。

扶養親族等の数が3人の場合

全額支給の所得限度額は133万円で、一部支給の所得限度額は306万円、孤児等の養育者・配偶者・扶養義務者の所得限度額は350万円です。

母子家庭のための医療費助成制度について

子供が20歳を迎える前日の月まで、母子家庭の母親や子供が病気や怪我で病院などの医療機関で保険診療を受けた場合に医療費の一部が助成されます。

どの地方自治体も基本的には同じですが、受給条件や受給金額などが異なる場合もあるので、詳細については各自治体のホームページを参照してみてください。

医療費助成制度を利用する場合は、病院などの医療機関で、保険診療を受けた際に母子家庭医療費受給者証を提示して医療費を支払います。

そうすれば、健康保険の高額療養費と付加給付金の金額を控除した額が、届出を行っている金融機関の口座に、3ヶ月後以降の毎月25日に振り込まれます。

ただし、予防接種・健康診断料・差額ベット代などの保険診療適用外の治療と、入院時の食事療養費などについては適用されませんので注意が必要です。

もし、何らかの事情で、母子家庭医療費受給者証を提示しないで保険診療を受けた場合や、県外の病院などの医療機関で保険診療を受けた場合には、診療月の翌月から1年以内に手続きを行なえば、医療費の払い戻しが受けられます。

母子家庭のための医療費受給資格認定の申請は、地方自治体の社会福祉課で申請し、認定されれば母子家庭等医療費助成金受給者証が発行されます。このとき、資格の取得日は、申請日の翌日になります。

母子家庭のための国民健康保険の軽減や免除について

母子家庭には、国民健康保険の軽減や免除の制度があります。母子家庭に限ったことではありませんが、国民健康保険料の支出は結構な金額になりますから、軽減や免除は積極的に活用したいところです。

保険料の軽減

国民健康保険料の軽減は、前年度の所得が一定金額以下の場合に適応されます。前年度の所得や世帯人数によって、保険料の軽減割合は変わってきますが、最低でも2割から最大で7割まで軽減されます。

地方自治体によって、国民健康保険の軽減の割合や方法は異なるので、詳細については各自治体のホームページを参照ください。

保険料の免除

その他、災害・天災・病気などで生活が著しく困窮した場合や、離婚などで前年より大幅に所得が減った場合は、国民健康保険の全部か一部の支払いが免除されます。

国民健康保険の軽減の場合は申請の必要はありませんが、国民健康保険の免除については申請が必要になります。

国民健康保険の保険料は、前年度の所得に応じて自動的に計算されます。しかし、所得がない場合に自分の所得を申告していないと、国民健康保険の軽減や免除について自動では適用されなくなります。ここは注意が必要です。

まとめ

母子家庭のための軽減や免除制度は、国民健康保険の他にも色々とあるので、お住まいの各市町村にお尋ねください。

シングルマザーとして子供を抱えて育てていくのは大変なことです。国・行政からは様々な制度や支援が用意されています。それで生活が劇的に変わるわけではないかもしれませんが、使えるものは使わないと損なので、積極的に活用しましょう。

シェアする