あなたの国民健康保険料は適切?無理せず免除してもらえる方法


1. 国保料の仕組み:まず知っておきたいこと

想像してください。ある町に、病気になった人、ケガをした人、お医者さんにかかった人が出たとします。全員が「いざという時」に医療を受けられるように、その町に住む人みんなで少しずつお金を出し合う仕組みがあったら安心ですよね。国保は、そんな「みんなで助け合う医療の保険制度」です。

日本では「国民皆保険制度」といって、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入することが決まっています。国民健康保険料は「所得割」「均等割」「平等割(※資産割)」の合計で、市区町村ごとに率が決まります。2025年度(令和7年度)は、高所得世帯の年間上限が109万円(介護保険加入者の場合)、介護保険なし世帯は92万円に引き上げられました。実際には、市区町村によって年額で数万円~数十万円の差が出ることがあるため、お住まいの自治体の公式サイトで最新の料率を必ず確認しましょう。

高額な地域と低額な地域の差は年間10万円以上、月額にして2万円程度の差が出ることもあります。

家計に気を遣っている世帯の年間10万円はとても大きい額ですよね。

国民健康保険料は減免してもらえる!?


「会社の保険と違って会社負担がないから高い…」と感じる方も多いですが、支払いが大変な世帯を助ける仕組みがあります。大きく分けて「軽減(とくに均等割・平等割を減らす)」と「減免(事情があって全体を軽くする)」です。

ほとんどの市区町村では、世帯の「総所得金額等」に応じて国保料を「7割」「5割」「2割」など軽減する制度があります。詳細な境界線(いくら以下)は自治体ごとに違います。(自治体ごとの保険料情報はこちら

たとえば東京都板橋区では、令和7年度の基準として:

  • 世帯の総所得金額等 ≦ 43万円+(給与所得者等数−1)×10万円 → 7割軽減
  • ≦ 43万円+(加入者数×30.5万円)+(給与所得者等数−1)×10万円 → 5割軽減
  • ≦ 43万円+(加入者数×56万円)+(給与所得者等数−1)×10万円 → 2割軽減

申請には前年所得の証明が必要ですが、要件を満たせば申請不要で自動的に軽減される自治体もあります。該当しそうな場合は、年度内に忘れずに役所窓口で確認しましょう。

自治体ごとに変わるため、お住まいの市区町村の制度や保険料を知りたい方は市区町村別 国民健康保険ポータルから検索することができます。

例えば北海道札幌市であれば、「前年度所得が33万円(家族がいる場合は、世帯主を除く被保険者数×265,000円または480,000円)以下」で7割・5割・2割の軽減制度があります。また千葉県千葉市などは年間見込所得額が基準額以下でかつ前年度より規定の割合以上の減収になる場合に国民保険料を軽減してもらえます。

それぞれ軽減・減免の基準が市区町村で違います。また、経済的理由での減免申請には審査があります。所得や資産についての書類の提出を求められることがほとんどでしょう。所得状況などを調べて結果減免されるかが決定されるまである程度の時間がかかります。

減免申請ができる条件の経済的理由には、低収入の他に病気やけがで医療費がかさみ一時的に家計が困窮したり収入が減った場合や、保険料を納めるべき世帯主が死亡したり障がい者になってしまい今までの収入が見込めなくなった場合も入ります。このようなケースだと給与や収入の証明書の他に医師の診断書が必要になります。

免除申請で全額免除になる条件は?

自発的な理由ではなくやむを得ない理由で収入が減ったり、または無収入になったりすることもあります。そういった場合に免除申請すると減免ではなく「全額免除」を申請することができます。

全額免除の条件としてはおおかた、

  1. 生活保護受給者:生活保護を受けている方は全額免除の対象となります。
  2. 天災その他特別な事情で収入が激減した場合
  3. 失業により所得がなくなってしまった場合

です。※会社都合の失業による減収は「減免」(最大7割軽減など)の対象で、原則として全額免除には該当しない点にご注意ください。申請にはそれぞれ被災証明書や生活保護受給証明などの書類が必要です

1.天災その他特別な事情で収入が激減した場合

天災、つまり地震などの自然災害の被災者になってしまったり、また農家や漁業を営む世帯では冷害や猛暑などが収入に影響した場合に全額免除になるケースがあります。市区町村のHPなどでは曖昧な表現にとどまっているので、よほどの大きな被害がないと適用されないと思っていた方が良いかもしれません。

2.失業により所得がなくなってしまった場合

こちらは、自己都合ではなく会社都合で無職になった場合です。倒産や解雇など不可抗力によって無職になった場合は全額免除が適用されます。倒産や解雇で無職になった場合、離職票をもらい失業保険をもらうためにハローワークへいくかと思います。それと同時に市区町村役所にも行くと国民健康保険の全額免除の免除申請ができます。この場合は支払いが困難な理由と状況がはっきりしていますので、さほど時間もかからず結果が通知されます。申請を出した時点から免除が適用されるので、失業後の手続きとしては最優先のものの一つです。万が一会社都合で無職になった場合は、ハローワークとともに役所に出向くのも忘れないようにしたいですね。

保険料額の算出と同様にこちらの条件も市区町村によって多少の差があります。あちらの市では全額免除だけどこちらの市では7割軽減にとどまった、ということもあるかもしれません。この「市区町村による」というのが国民健康保険のややこしいイメージのもとになっている気がしますが。

保険料の支払いがキツイと思ったら迷わず相談

収入があって減免は難しいかもしれないけれど、生活の状況では保険料の支払いが困難な場合もあります。前年度の収入が大きくても、今年度の収入見込みは減るだろうということもあります。保険料の未納や滞納は最悪の場合給与や資産の差し押さえとなってしまいます。そうなってしまう前に、まずは経済状況から支払が困難なことを市区町村の国民健康保険の窓口に相談をしに行きましょう。保険料の支払・加入脱退の他に、必ず相談の窓口があります。じっとしていても払えない保険料が減るわけではありません。
また、近年はオンライン予約やe-LTAXを使った申請受付を行う自治体も増えています。まずは電話やウェブで相談し、必要書類や手続き方法を確認しましょう。

例えば、軽減や免除が適用されなくても保険料の分納や猶予を提案してもらえることもあります。状況によっては、「あとこのくらい収入が少なくなったら減免になります」という情報がもらえるかもしれません。


【コラム:こんなときは…】

  • 転居したら要チェック! 市区町村が変わると料率や均等割額が変わります。引っ越し後は必ず新しい自治体の国保料を確認して、追加の手続きや申請を忘れないようにしましょう。
  • 家族が増えた・減ったとき 均等割は「加入人数×定額」で決まるため、扶養家族が増えると国保料が上がります。逆に扶養が外れた場合は保険料が下がるので、届出を早めに行うとムダがありません。
  • 所得が急に増えたら上限額の確認を 前年所得が高くなると「所得割」の負担が増えますが、世帯の年間上限額に達するとそれ以上はかかりません。上限到達後は一律の負担で済むので、手続きを先に済ませてしまいましょう。
  • 75歳を迎えたら自動切替 75歳になると「後期高齢者医療制度」へ移行し、国保料とは別の仕組みになります。誕生日月の前後に市区町村から案内が届くので、届いた書類の指示に従ってください。
  • 支払いがつらいときは分割・猶予を 高額になって納付が厳しい場合、分割納付や納付猶予、減免制度を活用しましょう。市区町村の窓口で事情を伝えれば、条件に応じて柔軟に対応してもらえます。

まとめ

  • 国保料は所得・人数・地域ルールで決まり、地域差が大きいのが特徴。2025年度は上限が109万円(介護対象外は92万円)に。まずは自分の自治体の最新情報をチェック。
  • 低所得の世帯は「7・5・2割」軽減の可能性。事情がある世帯は減免・猶予も。必要書類と申請の要否を確認。
  • 倒産・解雇等の失業は“30%みなし”で軽減が主流(=全額免除とは限らない)。
  • 迷ったら滞納前に窓口へ。分納・猶予・減免の可能性を早めに相談するのが、家計を守る近道です。

わからないことや困ったことは誰かに相談してみるのが一番です。健保や法律で定められた最低限の生活や保障を自ら手放すことはありませんよ。

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