国民健康保険と社会保険はどっちに加入した方がお得なの?

日本の保険制度はユニバーサルヘルスケアと呼ばれる国民皆保険制度が導入されていて、国民は必ず国民健康保険や社会保険に加入する義務があります。公務員の場合は健康保険法ではなく、国家公務員共済組合法に基づき共済組合の健康保険に加入します。

国民健康保険は国民健康保険法に基づき主に市町村が運営する医療保険で、会社員や公務員以外であれば、必ず国民健康保険に加入することになります。

そして、日本の国民のうち約27%が国民健康保険に加入していて、日本のユニバーサルヘルスケア制度を支えています。

国民健康保険に入るのか、それとも社会保険に入るのか。大抵、今やっている仕事や生活によって、そもそもどちらかにしか入れない場合が多いのですが、人によっては、どちらかを選択できることがあります。

そこで今回は国民健康保険と社会保険のどっちに加入した方がお得なのかについて、詳しく検証してみます。

国民健康保険と社会保険の違い

国民健康保険と社会保険の大きな違いは、国民健康保険の運営者が市区町村役場であるのに対して、社会保険の運営者は協会けんぽ、または各社会保険組合であることです。

また、それぞれの加入条件も異なります。国民健康保険の加入条件は、社会保険やその他の保険制度に加入していない自営業の人や無職の人などです。

それに対して社会保険の加入条件は、サラリーマンなど会社で働いている正社員か、正社員の4分の3以上の勤務時間がある非正規雇用の社員です。

そのため、勤務時間が短いアルバイトやパートの場合は社会保険ではなく、国民健康保険に加入することになります。

「扶養」の扱いが全く違う

国民健康保険と社会保険では、扶養に対しての考え方が全く異なっています。

国民健康保険には扶養という概念がそもそもないので、世帯内の加入者数によって国民健康保険の保険料が決まります。

一方の社会保険の場合は、扶養家族が何人いても、保険料は変わりません。(ただ、年金に関しては、配偶者のみが受け取れます。)

国民健康保険と社会保険の保険料の算出方法

国民健康保険の保険料の算出方法は市区町村によって異なるので、一概には言えませんが、加入者の所得の状況と人数と世帯を元に計算されます。

また、その年の医療費の支払いに必要な金額のうち、国などが交付金として負担する金額を除き国民健康保険の保険料でまかなうので、これを国民健康保険に加入している世帯の収入や人数に応じて公平に算出されます。

国民健康保険の医療分の保険料の算出方法は、所得割・均等割・平等割の合計です。

  • 所得割(前年の所得金額-33万円)×10.3%(年額)
  • 均等割 被保険者1人につき年額約2万6600円
  • 平等割 1世帯につき年額約2万5600円

なお、市区町村によってこの金額は異なります。合計金額が54万円を超える場合は54万円が上限になります。

国保には介護分もある 介護分の保険料の計算方法

次に国民健康保険の介護分の保険料の算出方法ですが、医療分の保険料の算出方法と同じ所得割・均等割・平等割の合計金額になります。

介護分の保険料は40歳から64歳までの方が対象で、39歳までと65歳以上の方は介護分保険料は計算されません。

ただし、65歳以上の方の場合は国民健康保険とは別に、介護保険の支払いがあり計算方法も異なります。

国民健康保険の介護分の保険料の算出方法は、

  • 所得割 (前年の所得金額-33万円)×3.3%(年額)
  • 均等割 被保険者1人につき9900円
  • 平等割 1世帯につき年額6900円

合計金額が16万円を超える場合は16万円が上限になります。

社会保険の保険料の算出方法

社会保険料にも健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・労災保険料とあります。

社会保険の健康保険料の算出方法は、収入や年齢などによって異なります。各都道府県ごとに保険料額表があり、それに基づいて計算されます。

基本的な社会保険の健康保険料の算出方法は、標準報酬月額×保険料率です。

例えば、都内の給料が30万円の30歳の方の場合であれば、健康保険料は2万9910円です。が、会社が半分は負担するので、実際に払う金額は1万4955円になります。

会社が保険料を半分負担してくれるのが社会保険の特長ですね。

まとめ

国民健康保険と社会保険のどちらがお得か?となると、これはもうその人次第なので、一概にどちらがお得かは言えません。

ただ、国民健康保険と社会保険で最も扱いが異なるのは、扶養に対してです。ここは全く異なるので、自分にとっての損得を見分けるポイントの1つになります。

例えば、都内に住む40歳の両親と小学生も子供の3人家族の場合、

  • 国民健康保険の保険料は月約3万円前後
  • 社会保険の保険料は月約2円前後(同じ家族構成で両親のどちらかが会社員)

となり、社会保険の方が保険料が少なくなります。

また、社会保険であれば、扶養家族が多くても保険料は同じです。国民健康保険の場合は扶養家族が多いと、それだけ保険料も増えます。

働く側からすると、社会保険の保険料は半分を会社が負担してくれているわけですから、その点からもお得と言えるでしょう。(雇う側は、その分を負担しなければならないので大変ですが・・・)

シェアする