日本は少子高齢化ということもあり労働人口が不足していて、特に安倍政権になってからは円安傾向で、海外からの外国人観光客が増加し、景気回復の兆しが見られます。そのため多くの産業では人手不足で、海外からの外国人に労働を頼らざるを得ない状況です。
そこで問題になってくるのが、会社で外国人を雇った場合の保険です。
会社で働く外国人であれば、必ず全国健康保険協会が運営する中小企業向けの健康保険に加入することになりますし、会社で働いていなくても、3か月を超える在留期間がある外国人の方は国民健康保険に加入する必要があります。
名称は「国民」健康保険ですが、外国人も加入することができると言うか、状況によっては加入しなければならなくなっています。
そんな外国人と国民健康保険の関係について、加入できる条件など詳しくご紹介していきます。
外国人は必ず健康保険に加入する必要があるの?
外国人労働者の場合、全国健康保険協会が運営する中小企業向けの健康保険に加入する必要があります。それ以外の外国人の場合、在留期間が3か月を超える場合は国民健康保険に加入する必要があります。
外国人労働者や国民健康保険に加入する必要がある外国人の中には、これまで病気をほとんどしたことがないし、保険料が高いから健康保険に加入したくないと外国人もいるようです。
しかし、日本の場合は国民皆保険で、日本で働く外国人労働者も、3か月を超える在留期間がある外国人も、日本ではいずれかの健康保険に加入する必要があります。
在留期間が3か月を超える外国人が国民健康保険に加入しないとどうなるの?
在留期間が3か月を超える場合は国民健康保険に加入する必要がありますが、加入の手続きをしなくても何らかの処罰を受けることはありません。
国民健康保険の場合は政府管掌の健康保険ではなく各市町村で管轄する保険で、全ての住民がどのような保険に加入しているかまでは把握していません。
そのため、国民健康保険に加入しなくても強制加入させれることもなく、またそのために何かの法的な処分を受けることもありません。
しかし、万が一何かの病気になったり交通事故で怪我をした場合には、治療費や入院費は思いのほか高くなり、保険がなければ高額な金額を自費で支払うことになります。
保険料を遡って払うハメに・・・
中には、国民健康保険に加入していないと治療や入院を断る医療機関もあります。その際に、治療を受けるために国民健康保険に入ることはできるのですが、国保の加入はそのときからではなく、その市町村に住民登録をした日に遡ることになります。つまり、今まで払ってなかった保険料を払わせられるハメになります
遡って保険料を払わないといけない、となると、「自分は病気も怪我もしてなかったのに払うなんておかしい!」と思われるかもしれません。
でも、「怪我をしたから今から保険料を払う」ってのも、それもまた都合のいい話です。
かなり痛い出費ですが、仕方がないんです。まぁ、これは外国人に限った話ではなく、日本人でも同じなんですけどね。
国民健康保険に加入できない外国人もいるの?
逆に国民健康保険に加入したいと思っても、加入できない外国人もいます。
在留資格の面から加入ができないケース
例えば、在留期限が切れている外国人や、在留資格が3か月未満の短期滞在、外交や公用で訪日している外国人、特定活動の在留資格のうち医療目的で滞在する外国人とその帯同者は加入できません。
ただし、在留資格が興行・技能実習・家族滞在・特定活動の場合で在留期間が3か月以下で住民登録がない外国人でも、日本での滞在期間が3か月を超えることを証明する書類がある外国人の場合は、国民健康保険に加入できます。
日本と社会保障協定を結んでいる国からの外国人
さらに日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国から訪日している外国人で、本国政府からの社会保障加入の証明書がある場合にも加入できません。
保険料が本国と日本とで2重取りになってしまうのを防ぐため、このようになっています。
他の健康保険に加入している外国人
外国人労働者で健康保険に加入している場合のように、他の健康保険に加入している外国人や、その被扶養者として他の健康保険に加入している外国人、生活保護を受けている外国人の方も、国民健康保険に加入できません。
外国人の方が国民健康保険に加入する際に必要な書類
国民健康保険の加入資格がある外国人の方は、自分が住む市町村の国民健康保険課で、転入から14日以内に国民健康保険の加入の手続きをしないといけません。
もし、国民健康保険の加入の手続きが遅れた場合は、入国日や転入日、資格喪失日まで遡って保険料を支払う必要があります。
国民健康保険に加入する際には、在留カードか特別永住者証明書と、もし前の会社をやめた場合は社会保険資格喪失証明書・離職票・退職証明書・源泉徴収票のうちいずれか一つを持参します。
すでに国民健康保険に加入している外国人の子供が生まれたときは、在留カードか特別永住者証明書と国民健康保険証と母子健康手帳を持参します。
まとめ
日本では在留期間が3か月を超える外国人の場合は国民健康保険に加入する必要があります。
しかし、国民健康保険に加入していなくても、別にペナルティがあるわけでもないので、加入しないままの人も大勢いると思われます。
ただ、ちゃんと国民健康保険に入っていないと、万が一のときに困ります。病院から診療の際に保証金を要求されるのが普通ですし、中には治療を拒否する病院もあります。治療できても保険適用外治療になり、治療費が通常よりも高くなることもあります。
「国保に入らず、そして治療費が高くなるからといって病院にも行かず」では、症状を重篤化させてしまう危険性があります。きちんと加入の手続きをしましょうね。