そもそも後期高齢者医療制度って?
後期高齢者医療制度とは75歳以上の方(※75歳の誕生日翌日から対象)の医療費を支える仕組みです。
- 医療費全体のうち約50%を公費(国・都道府県など)、約40%を65〜74歳の現役世代支援金で、残り約10%を75歳以上の保険料で賄います
保険料と保険料率は、各都道府県において運営主体となる広域連合が、「財政的負担能力」と「地域の医療費の水準」に応じて、決めていくことになります。
75歳以上の高齢者等の医療費について、全体の約50%を公費で、約40%を74歳以下の若年層の支援金(後期高齢者医療支援金)で、残りの約10%を75歳以上の高齢者等の保険料で賄います。
保険料は、被保険者全員が一律に負担する「均等割額」と、被保険者の所得に応じて負担する「所得割額」、これらを合計した額で決まります。
つまり、「保険料」=「均等割額」+「所得割額」 ということです。
均等割額と所得割率は都道府県ごと(広域連合ごと)に定められており、各都道府県内においては均一となっています。また、金額は個人ごとに算出されます。
ちなみに、保険料の上限は年額50万円です。
均等割
所得に関係なく、加入者が一律に支払う部分です。
この金額は広域連合ごと(都道府県ごと)に異なっています。大体1人当たり、令和7年時点で約5万円です。
全国平均(令和6・7年度):年額50,389円(月額約4,199円)
均等割額は、世帯単位で計算します。
均等割額の軽減措置
国(法律)で定められた基準以下の世帯は、以下のいずれかの割合で均等割・平等割が減額されます:
「同一世帯内の被保険者と世帯主の総所得金額等の合計額」が次の基準額を超えない場合、保険料の均等割が軽減されます。(手続きは不要です)
厚生労働省のPDFを見てみましょう
- 7割減額
- 5割減額
- 2割減額
「誰が」「どの所得で」「何割軽減されるか」の具体的な数値(基準額や適用対象)は、市区町村ごとの条例で決まります。
- 例:世田谷区(令和7年度)
- 世帯所得43万円+(加入人数−1)×10万円以下 → 7割軽減
- 世帯所得43万円+(加入人数×30.5万円)以下 → 5割軽減
- 例:ひたちなか市(令和7年度)
- 世帯所得43万円+(加入人数−1)×10万円以下 → 7割軽減
- 世帯所得43万円+(加入人数×29.5万円)以下 → 5割軽減
軽減判定の注意点
- 制度自体は全国統一ですが、軽減基準額や必要書類、申請の要/不要は自治体によって異なります。
- 自治体のウェブサイトや国保窓口で、最新の「均等割軽減基準」を必ず確認しましょう。
- 世帯主が長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の被保険者でない場合でも、被保険者と生計維持関係にある世帯主の総所得金額等は軽減判定の対象となります。
- 65歳以上の方の公的年金所得については、公的年金の収入額から公的年金控除を差し引いたあと、さらに高齢者特別控除15万円を差し引いて軽減判定します。
- 平成20年代〜令和元年度(2019年度)までは、低所得世帯や元被扶養者向けに「均等割9割軽減」や「8.5割軽減」が予算ベースで実施されていました。
所得割額
所得割額はこのように計算されます
(課税所得)× 所得割率
ここで、 課税所得は「収入(年金・給与など)- 控除(基礎控除43万円、公的年金等控除、給与所得控除など)」。
全国平均所得割率(令和6・7年度)は全国で決まっており10.21%です。
- 課税所得の求め方例:
- 公的年金収入200万円 - 公的年金等控除120万円 = 80万円
- 給与収入300万円 - 給与所得控除100万円 = 200万円
- 合計課税所得:80万円 + 200万円 = 280万円
- 低所得者の軽減措置:
- 課税所得33万円以下 → 所得割が0円(全額免除)
- 課税所得33万円超58万円以下 → 所得割が半額(5割軽減)となる場合あり(要申告)
※軽減の具体的な手続きや基準額は自治体ごとに異なります。お住まいの市区町村のサイトで「所得割軽減」の要件を必ずご確認ください。
また、均等割額と異なり、所得割額は個人単位で計算します。
所得割額の軽減
所得割額の賦課対象者のうち、所得割額算定にかかる「賦課のもととなる所得金額{(総所得金額等)-(基礎控除の33万円)の部分}」が58万円以下(年金収入のみの場合は、その収入が211万円以下)の方については、所得割額が一律5割軽減されます。
コラム:こんなときは…
- 年金だけの方:公的年金の控除後が軽減基準内の場合、均等割が大きく減ります。証明書を提出して忘れずに申請を!
- 急に収入増:所得割は増えますが、上限を超えることはありません。安心して手続きを。
- 引っ越し・転居:都道府県をまたぐと保険料率や均等割額が変わるので、手続きを忘れずに。
- 医療費が高額に:高額療養費制度(※自己負担の上限を超えた分が戻る仕組み)も併用すると、窓口負担がさらに軽くなります。
安心して制度を活用し、快適なシニアライフを!
まとめ
- 計算式:保険料=均等割+所得割
- 均等割:年額約5万円(都道府県単位で差あり)、所得や年金収入で最大9割軽減
- 所得割:平均率10.21%、低所得者は5割軽減、33万円以下ならゼロ
- 上限:基本50万円/年(条件により73~80万円の上限引上げ)
まずはお住まいの「後期高齢者医療広域連合」(都道府県)サイトで、最新の「均等割額」「所得割率」「軽減基準」を確認しましょう!