国民健康保険で受けられる給付と所得区分などその詳細や条件

国民健康保険は、会社員や公務員およびその扶養者を除いた方々が加入する保険で、主に自営業者、もしくは会社を辞めた方が一時的に加入するケースがほとんどでしょう。

病気や怪我をした時に病院などの医療機関の窓口で国民健康保険を提示すれば、年齢や収入などに応じて医療費の一部負担金を支払うだけで診療や医療を受けることができます。

一部負担金の割合は、

  • 3歳未満の場合は医療費の2割負担
  • 3~69歳の方の場合は3割負担
  • 70~74歳の方の場合は1割負担

と定められています。ただし70~74歳の方の場合でも一定額以上所得者は3割負担です。

一定額以上所得者とは、同一世帯の70歳以上の国民健康保険加入者の中に、課税所得が145万円以上の人がいる世帯の人を指します。但し、70歳以上の国民健康保険被保険者の前年の収入合計が、2人以上の場合は520万円未満、1人の場合は383万円未満であれば、申請すれば1割負担となります。

国民健康保険で受けられる医療と受けられない医療

国民健康保険の被保険者は、

  • 国民健康保険で受けられる医療・療養の給付
  • 入院時食事療養費
  • 生活療養費
  • やむをえない理由で被保険者証を持たずに治療を受けた場合の療養費
  • 移送費の支給
  • 医療費が高くなった場合の高額療養費
  • その他の給付 など

を受けられます。

国民健康保険で受けられる医療とは、

  • 診察・医療処置や手術などの治療
  • 薬や治療材料の支給
  • 在宅療養及び看護
  • 入院及び看護(ただし食事代は別途に負担が必要)

です。

逆に、国民健康保険で受けられない医療とは、

  • 美容整形
  • 健康診断
  • 予防接種
  • 正常分娩
  • 経済上の理由による人工中絶
  • 仕事上の怪我や病気など労災保険の対象になる場合
  • けんかや泥酔などによる怪我や病気
  • 金合金などの歯科材料費
  • 人間ドック

です。美容整形のように命に関係のない範囲の治療行為や贅沢な歯科材料については、それがなくても生きていけるわけですから、やはりと言うか、国保の対象外になっています。

意外と見落としがち?入院時食事療養費、生活療養費

病気や怪我をして病院に入院した際、食事代のうち標準負担額は自己負担ですが、残りの金額は国民健康保険で負担してくれます。

標準負担額は所得区分があり、

  • 住民税課税世帯の場合は、1食当たり360円
  • 住民税非課税世帯と低所得者Ⅱの場合、90日までの入院は1食当たり210円
  • 過去12ヵ月で90日を超える入院の場合は、1食当たり160円
  • 低所得者Ⅰの場合は標準負担額は、1食当たり100円

です。

但し、住民税課税世帯で、指定難病患者や小児性慢性特定疾患患者がいる世帯や、精神病床に1年を超えて入院している患者がいる世帯の標準負担額は、1食260円になります。

また住民税非課税世帯や低所得者ⅠやⅡの方は、入院の際に限度額適用・標準負担額減額認定証が必要になります。

65歳以上の人が療養病床に入院した際の食費や居住費について

65歳以上の人が療養病床に入院した際は、所得区分と医療区分によって自己負担額が分けられています。ちょっとややこしくなります。

医療区分Ⅰでは住民税課税世帯の場合は1食当たり460円と1日あたりの居住費320円の金額が自己負担となります。

医療区分Ⅱ・Ⅲでは1食当たり360円が自己負担となりますが、1日あたりの居住費は掛かりません。

住民税非課税世帯と低所得者Ⅱの場合は医療区分Ⅰでは1食当たり210円と1日あたりの居住費320円の金額が自己負担となります。

医療区分Ⅱ・Ⅲでは1食当たり210円が自己負担となりますが、1日あたりの居住費は掛かりません。

低所得者Ⅰの場合は医療区分Ⅰでは1食当たり100円と1日あたりの居住費320円の金額が自己負担となり、医療区分Ⅱ・Ⅲでは1食当たり100円が自己負担ですが1日あたりの居住費は掛かりません。

まとめると、下表のようになります。

医療区分Ⅰ 医療区分Ⅱ・Ⅲ
住民税課税世帯 1食当たり460円
1日あたりの居住費320円
1食当たり360円
居住費なし
住民税非課税世帯
低所得者Ⅱ
1食当たり210円
1日あたりの居住費320円
1食当たり210円
居住費なし
低所得者Ⅰ 1食当たり100円
1日あたりの居住費320円
1食当たり100円
居住費なし

やむをえない理由で国民健康保険を持たずに治療を受けた場合の療養費について

突然の事故などで国民健康保険を持たずに治療を受けた場合は、掛かった療養費をいったん全額負担しなければなりませんが、支払った費用の領収明細書を申請すれば後から療養費の支給として払い戻しが受けられます。

ただ、医療機関によっては、「後で保険証を持ってきてくださいね」ということで、その場は3割負担等で済むこともあります。(もちろん、後日ちゃんと保険証を持ってかないとダメですよ。)

また、

  • やむを得ず海外の医療機関などで治療を受けた場合
  • 保険医が同意した後に、はり、灸、マッサージの施術をうけた場合や、柔道整復師の施術を受けた場合
  • コルセットなどの補装具代
  • 医療機関に資格証明書を出して治療を受けた特別療養費 など

これは、それぞれ申請に必要な書類が違いますが、要件を満たせば払い戻しが受けられます。

まとめ

医者の指示により重病人を転院させて移送に費用がかかった場合は移送費が支給されますし、医療費が高くなった場合には高額療養費が支給されます。

何でもかんでも給付されるわけではありませんが、医者の指示に基づくもので、かつ、治療に最低限必要なものであれば、大抵は国保でカバーされています。

国保の給付制度は大体どの市町村でも同じなんですが、細かいところは各市町村によって異なることがあります。受けられる給付や所得区分などが多少違うことがあるので、詳細についてはご自分が住んでいる役場に確認するのがベターです。

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